夏場対策の戦術が的中。「オヤジ力」健在の横浜F・マリノスに再浮上の気配 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 前半から積極的に高い位置でボールを奪おうとする姿勢は、この夜の気象条件を考えれば飛ばし過ぎにも感じられるほどだった。しかし、それこそが過去の教訓から得た夏場対策だったわけだ。樋口監督もこう語る。

「俊輔には『トップ下で(攻撃から守備への)切り替えのスイッチになることが重要だよ』という話をした。彼が(高い位置からプレッシャーをかけに)行くことで、中町やカンペー(富澤清太郎)が次のボールを奪えた。いい守備ができていた」

 ともすれば、夏場の暑さを心配するあまり、ひとまず下がって守りを固める“省エネ”に走りがちだ。だが、むしろ積極的に前からボールを奪いに行くほうが得策だというのが、百戦錬磨のベテランが揃うチームがたどり着いた結論だった。

 肉体的なもの以上に、恐らく精神的な消耗が少なくて済むのだろう。中町は「敵陣で自分たちからボールを奪いにいくほうがいいと再認識できたのではないか」と、会心の勝利を振り返る。

 横浜FMは、この勝利で首位・大宮との勝ち点差を5に縮めた。順位こそ4位と変わっていないが、優勝争いに踏みとどまるためには大きな1勝だった。

 と同時に、夏場の失速が不安視され、かつそれが現実のものとなりつつあったオヤジ軍団にとっては、過酷な条件下で首位チームを圧倒できたことの意味は大きい。

 横浜FM、再浮上の気配である。

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