W杯まで1年。福田正博からザックジャパンへ「3つの提言」

  • photo by Fujita Masato

「もっと新戦力を試して、代表チーム内で競争をさせるべき」という意見もあるが、現在の日本代表のスタメンの選手たちは欧州リーグで相当激しい競争にさらされているのだから、代表でもその意識は十分すぎるほど持っているはず。

 また、「ザックジャパンは招集メンバーが固定されすぎている」と言われてしまうということは、裏を返せば、現在招集されていない選手たちの中に、ザッケローニ監督が起用せざるをえないだけの「ずば抜けた活躍をしている選手がいない」ということでもある。

 もちろん、新しい選手が出てきて今のスタメンに刺激を与えることが日本代表チームの活性化につながることは間違いない。だからこそ、現在招集されていない欧州組の選手やJリーグの選手たちは、「代表でスタメンの座を獲得したい」ともっとアピールして、今のレギュラーに割って入る強い気持ちを前面に出してプレイほしい。

 また、選手の所属クラブがバラバラという点は、ブラジル代表的ともいえるが、日本はブラジルほど強烈な個の力がまだない。たとえば、ブラジルはCLで優勝したバイエルンのレギュラーCBのダンテが控えになっている。スペインは同じくバイエルンのレギュラーMFのハビ・マルチネスがベンチにいる。これは、日本でいえば本田圭佑や香川真司クラスの選手が試合に出られない状態に近い。こうした個の力の差を少しでも埋めていかなくてはいけないだろう。

 こう考えると、日本は、志向するスタイルはスペインに近いが、選手の置かれている状況はブラジルに近い。ブラジルの個のレベルに一歩でも近づいていき、同時にスペインのようなコンビネーションも追求することが究極の目標といえる。それは非常に難しいことではあるが、その両方のレベルアップができなければ、強豪に勝利するチャンスはいつまでたってもやってこない。

 ワールドカップ本大会まであと1年。日本の選手たちが成長していく分、世界の選手たちも成長し続けている。その差を縮めるために、選手たちが猛スピードで走り続け、レベルアップしてくれることに期待したい。

プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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