W杯まで1年。福田正博からザックジャパンへ「3つの提言」 (3ページ目)

  • photo by Fujita Masato

 そうした力を身につけるためには、より高いレベルの厳しい環境でプレイをしていくべき。それはつまり、欧州のトップリーグで「試合に出場し続ける」ということであり、この夏の移籍で、岡崎慎司(シュツットガルトからマインツ)や細貝萌(レバークーゼンからヘルタ・ベルリン)が出場機会を求めて移籍を決めたように、代表選手たちがどういった選択をするのか注目したい。

 ただし、個のレベルの差は急に縮まるものではないので、チームとして、組織としていかにまとまっていけるかが、さらに重要になる。

 チームづくりにおいては、フォーメーションや戦術などの選択肢を増やしすぎてしまうと、選手の判断ミスが増えてしまいがちだ。だからこそ、監督が戦い方や布陣を整理して、選手の迷いをなくしていく。そして、相手を上回るために、効果的な動きを効率的に行ない、無駄な動きをなくして、チーム全体のプレイの精度を高める。

 オプションとして、3-4-3を採用することも議論されているが、現時点でこのシステムはザッケローニ監督の狙いどおりにできていない印象で、機能しているとは言い難い。3バックというよりも5バックになってしまっていて、本来攻撃的なフォーメーションであるはずの3-4-3が、守備的布陣になってしまっている。

 イタリア代表が3バックでも4バックでもスムーズに変更できるのは、今のイタリア代表にはユベントスの選手が多く、彼らはクラブで普段から3バックにも慣れているからすぐに対応できるのであって、日本代表より明らかに習熟度が上だ。今の日本代表は選手の所属クラブがバラバラで、3バックのクラブでプレイしている選手もいないことを考えると、3-4-3にこだわるよりも、4-2-3-1に磨きをかけていってほしい。

■メンバーはある程度固定させる

 また、スペインのように、パス回しとコンビネーションで相手を崩していくことが日本の長所だと思うが、スペインは、シャビやイニエスタ、ブスケツらバルセロナの選手が中心で、彼らはクラブでも一緒にやっているので、クラブでも代表でもほぼ同じようにプレイしている。実はそこが、日本とは状況がかなり違う。

 そもそも代表チームは年に数回しか集まれないのだから、クラブチームに比べてトレーニング時間が圧倒的に少ない。そのため、限られた時間のなかでチームとしての完成度、成熟度をさらに高め、スペインのようなコンビネーションのよさを強化するためには、メンバーをある程度固定化せざるをえないというのが私の考えだ。

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