藤田俊哉×名波浩が検証「大宮が躍進し、磐田が低迷したワケ」 (4ページ目)

  • 小室 功●構成 text by Komuro Isao
  • 山添敏央、益田佑一●撮影 photo by Yamazoe Toshio,Masuda Yuichi

名波 もともと磐田は(攻撃の)崩しの能力のあるチームだし、バイタルエリアのところまではきれいにボールを動かせる。問題はそこから先だよね。ペナルティーボックス近辺にボールを運んで、そこからどういうふうに人数をかけるのか、どういう形でフィニッシュまで持っていくのか。そこがポイント。この間の練習試合でも、左右どちらかのサイドに人を固めて、そこから逆サイドにボールを展開し、スピードを上げて仕掛けていくまではよかった。そのあと、最後のクロスとか、シュートを打つまでが課題のように感じた。

藤田 自分が見た練習試合のときもそう。結局、シュートまでなかなかいっていなかった。それが、リーグが再開したときにはクリアできているかどうか、浮上のカギになるだろうね。

――巻き返しのキーパーソンとなる選手は誰になるのでしょうか。

藤田 やっぱり、前田遼一。これまでは点が取れなかったけれど(2得点)、1シーズンを通してやれば、悪くてもふた桁は必ず取れる選手。彼がしっかり点を取ることが大事だと思う。

名波 それと、山田大記だね。関塚監督も言っていたけど、(チームが)勝っていないとか、(自分は)キャプテンだからとか、いろいろなものを山田は背負い過ぎていた。まずは、その重荷を下ろしてほしい。そして、プレイの面でも制限されることが多々あったと思うけど、自由な発想と動きで、自分の良さを生かすことを心掛けてほしい。そのためにも、周囲の選手や監督が、彼の負担を減らしてあげられればいいな、と思う。何はともあれ、折り返しとなる第17節までの4試合で、どこまで勝ち点を伸ばしていけるかが、今後の流れを作っていくうえでは大きなポイント。

藤田 4連勝すれば、まだまだ上位を目指せる位置までいけるんじゃないの。それぐらいの結果を期待したいね。

――はたして、磐田の反撃はなるのか、楽しみです。では次回は、これからさらに躍動しそうな選手、日本代表にお勧めのJリーガーについて、話を聞かせてください。

(つづく)

  
◆藤田俊哉(ふじた・としや)
1971年10月4日生まれ。静岡県出身。卓越した技術と高い得点力でジュビロ磐田の黄金期を築いた「天才MF」。日本プロサッカー選手会の会長としても奮闘した。2012年、現役を引退。現在は、指導者ライセンスの取得に励みながら、解説者としても活躍している。

  ◆名波 浩(ななみ・ひろし)
1972年11月28日生まれ。静岡県出身。ジュビロ磐田の司令塔として活躍し、日本代表では「10番」を背負って初のW杯出場に貢献した。引退後はジュビロのアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として奔走している。

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