日本代表がアウェーで苦戦する理由 (3ページ目)

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 ほかにも、練習を予定していたグラウンドを、当日になって貸してくれない、ということもある。また、アテネオリンピック予選で、ほとんどの選手が体調を崩してUAEラウンドから帰ってきたことがあるが、そういうことも起こりうることをわかったうえで準備をしていく。選手たちがどういうことにストレスを感じるのか、そのストレスがピッチでどういうふうに表れてしまうのか。それを理解していること、経験していることで、対応ができるようになる。

「気持ちが弱いからだ」という精神論で片づけてはいけない。メンタルの部分も多少はあるかもしれないが、それは強い弱いではなく、順応できるスピードの違いだ。強い弱いで分けてしまうと、すぐに適応できない選手は「俺は弱い」と思い込んでネガティブになる。「ちょっと時間がかかるだけだ」「経験を積めばいい」と思えば、選手は前向きになれる。

 海外旅行に行くだけでも、慣れていない人にとってはストレスになりうる。飛行機での長距離移動で疲れるということもある。飛行機に10時間以上乗っているのはきついと思っていても、慣れてくることで、機内での過ごし方や時間の使い方、リラックスする方法を学んでいくものだ。何度も繰り返し、失敗してそこから学んで適応する。試合と同じでそういった経験値も重要になる。

 経験というのは選手にとって何ものにも代えがたい。できるなら、ユース年代からそういうアウェーでの経験を積んでおくべきだろう。だからこそ、日本サッカー協会は若い世代、U-17以下の年代でも国際大会で経験を積ませることを重視している。

 最も重要なことは、どんな状況でもいつもどおりにプレイすること。環境が変わっても、プレッシャーがかかっても、平常心を失わないこと。その点、今の日本代表選手たちは、若いころからアウェーでの経験が豊富で、どんな状況でも平常心で戦えている。アウェーでのレフリーのジャッジやピッチコンディションの違いなど、環境の違いに慣れているから、それらに邪魔されることなく、サッカーに集中できる。

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