Jリーグ20周年。かつての盟主・東京VはJ2から昇格できるのか? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Matsuoka Kenzaburo

 06年のJ2降格後、08年に一度はJ1復帰を果たしたものの、1シーズンですぐにJ2へ逆戻り。クラブの経営危機も重なり、その後はJ2が定位置となったままだ。今二十歳の若者で、ヴェルディが強豪クラブであったことを知る人はかなり少ないのではないだろうか。

 今季のヴェルディもまた、第6節にしてようやく初勝利を手にするなど、シーズン序盤は苦しい戦いを強いられた。クラブOBでもある三浦泰年監督が今季から指揮を執り始めたばかりとあって、結果を出すにはまだまだ時間がかかるかに思われた。

 ところが、この初勝利をきっかけにヴェルディが勢いに乗っている。

 第5節以前は4分け1敗とひとつも勝てなかったにもかかわらず、第6節以降の8試合は5勝2分け1敗。そのなかにはガンバ大阪戦での引き分け(0-0)や、ヴィッセル神戸戦での勝利(2-1)も含まれており、上位勢とも互角に戦える力があることを示した。第5節終了時点で"ブービー"の21位だった順位は、最新の第14節終了時点では8位へと急上昇している。

 しかもヴェルディは、第10節の松本山雅戦が積雪により中止となったため、他クラブよりも消化試合数が1試合少ない。その代替試合が5月15日に行なわれるが、これに勝てば順位は5位まで上昇するという状況だ(大勝すれば得失点差で4位になる可能性もある)。

 5月12日、奇しくも"始まりの場所"、国立で行なわれた第14節で首位・神戸を破った後、三浦監督はこんなことを語っている。

「歴史ある国立で、20年前に輝いていたヴェルディというクラブをどういうふうに未来へ持っていけるのかという意味で、非常に大事な試合だった。未来へ向けて、プライドと勇気を持ってこの後も戦っていければと思う」

 この試合、主導権を握って試合を進めていたのは、神戸のほうだった。特に後半は神戸のシュートがポストを叩き、あるいはバーを叩き、いつゴールが決まってもおかしくない時間が続いていた。

 それでも三浦監督は「神戸を相手にしたときに大事なのは、攻撃をしっかり止めること」だったと振り返り、こう言って選手を称えた。

「つなぎの部分など未熟なところはあるが、最後まであきらめないで続けてやった結果が、最後の高原(直泰)の点につながったのかなと思う」

 決勝ゴールを決めたFW高原直泰もまた、指揮官同様に「未熟」という言葉を用い、「ゲームをするなかで成長していかないと。今は未熟なチームを強くする作業をしているところ」だと語った。

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