【Jリーグ】16戦無敗で3位。
大宮・ベルデニック監督が語る「優勝へのプロセス」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 果たして大宮は、組織的な守備を粘り強く続けながら、FWズラタンの決勝ゴールで見事に競り合いを制したのである。

「半年前のチームであれば、こういう試合で勝つことは難しかった」

 試合後、そう振り返ったのは、大宮のズデンコ・ベルデニック監督である。「半年前のチーム」とは、言うまでもなく「残留争いをしていたころの大宮」のことだ。

 過去、市原(現・千葉)、名古屋、仙台で指揮を執り、Jリーグでの経験も豊富なスロベニア人監督は、「選手、スタッフだけでなく、クラブ全体が同じ方向を向いて仕事をしている」ことを、まずは好調の要因として挙げたうえで、こう語る。

「(昨季途中で)自分が監督に就任したとき、自分たちが目指すプレイモデルを設定し、そこへ向けてどのようなトレーニングプロセスを経ていくのか、はっきりとプログラムを示した。勝てない時期もあったが、選手は日々、真面目にトレーニングに取り組んだ結果、少しずつ成長していった」

 なるほど、組織的に構築された守備には着実な進歩がうかがえる。指揮官がしっかりと目標設定をし、そこへの過程を具体的に示すことで、選手は自分たちの成長度を知り、自信を持ってプレイできているのだろう。

 敵将、ランコ・ポポビッチ監督も「大宮は無敗記録を伸ばし、自信を持ってプレイしている。うちの選手も(自分たちがやっていることに)自信を持っているが、その部分では相手が上回っていた」と振り返った。

 とはいえ、大宮の成長はまだ道半ばである。それを裏付けるように、ベルデニック監督はこうも話している。

「サッカーで大事なのは"自分たちがサッカーをすること"だ」

 何やら禅問答のような話ではあるが、その言葉の意味は、決して受け身になることなく、あくまで自分たちが主導権を握って試合を進めたいということだろう。

 東京戦を終え、指揮官が苦言を呈したのは、後半の戦いぶりについてである。「前半の戦いには非常に満足している」と話す一方、「後半、相手が前がかりになって力強く攻撃を仕掛けてきたとき、自分たちはマイボールになってもパスをうまく動かせなかった」と、不満げな様子を見せた。

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