チームを勝利に導くためになすべき「監督の五カ条」 (4ページ目)

  • photo by Nakashima Daisuke/AFLO

4:練習メニューを考える

 だからこそ、しっかりメニューを考えて練習を重ね、選手に自信を持たせてピッチに立たせなくてはいけない。そのためには、選手が得意なこともやらせて、成功体験を積ませることが必要になる。そのことで選手が自信を深めていき、試合への準備を整えることができるからだ。

 それと同時に、試合よりも厳しい状況になるハードトレーニングを行なうことで、実戦で選手たちがいいパフォーマンスを発揮し、自信をつけることもある。そのように、練習方法を適切に選択することも監督が判断して進めていかなくてはいけない。

 そのうえで、自分のチームの選手の才能、能力をいかに引き出していけるか。選手個々の力をうまく生かしていくことができ、なおかつ結果も残すのが監督の役目といえる。

5:チームを勝利に導く

 プロの場合、結果が何よりも大切だと私は思っている。勝てないまま、負け続けてマネジメントがうまくできることはまずない。負けているときは、トレーニングやミーティングで監督が言っていることは、どんどん信憑性がなくなってくるからだ。

「こうやれば大丈夫だと言ったのに駄目じゃないか」と選手が思うことが続いたら、いくら正しいことを言っても、選手達は「また駄目なんじゃないか?」と考えてしまう。同じことを言っても、勝っていれば選手も耳を傾ける。勝つことでマネジメントがスムーズになることは間違いない。

 そのためにも、監督は自分が指揮するチームの戦力、選手の特徴やキャラクターを十分理解しておく必要がある。他のチームと比べることも、もちろん必要だが、今、自分が率いているチームの戦力に合った布陣や練習メニューを考え、自分たちのサッカーをつくりあげていく。

 もちろん、自分がやりたいサッカーを実行するために必要な選手を穫ってこられる予算があるなら、自らの指向するスタイルでチームを構築していけばいい。今季の浦和のように、ペトロビッチ監督が目指すサッカーに適した選手を獲得するなど、クラブがバックアップをしてくれれば、その監督のスタイルでサッカーを続けることはより容易になるだろう。

 いずれにしても、まず自分たちの戦力をしっかりと把握しておかなければ、相手と戦うことはできない。そして、今いる選手たちの力をどう組み合わせてどうやって生かすか。それを絶えず考えて、戦術やフォーメーションを決め、勝利に導くのが、プロサッカークラブの監督なのだと思う。

プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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