【日本代表】モチベーターとしての
ザッケローニとなでしこ佐々木監督の共通点

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 たとえば、チームが勝てなくなっていたとき、ミーティングで監督が自分で自分に言い聞かせているようなことが、私自身の経験上ときどきあった。それは監督自身が明らかに迷っているときで、選手に言っているように見えて、実は自分に言い聞かせているようなミーティングになる。そして、そんな監督の心情を、選手は敏感に読み取っていた。 

 その点からも、監督は堂々としていないといけない職業でもある。動揺していると、選手やチーム全体にそれが伝わる。監督の機嫌が良いか悪いかも、選手は察知する。

 そう考えると、選手が監督の感情を察知すると分かっていて、重要な試合のときは、普段とはすこし違う振る舞いをすることで、「今日の試合はいつもと違うんだぞ」と選手に伝えることもできる。

 そうやって意図的に振る舞うこと、演じることも監督の手腕だと私は思っている。

 監督の言動は、選手のモチベーションを上げるための薬にもなるし毒にもなる。それをふまえて、さまざまなクラブや代表チームの記者会見での監督の受け答えを聞いてみると、チーム状況が垣間見えて、観戦のポイントがひとつ増えるのではないだろうか。

プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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