【Jリーグ】広島、浦和に続け。3バック・ブームは日本でも定着するか? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 実際、第2節で浦和に0-1で敗れた名古屋のストイコビッチ監督は試合後、こんなことを話している。

「浦和はボールポゼッション(ボール支配率)が高い。だから、阿部(勇樹)、鈴木(啓太)、槙野(智章)、森脇(良太)からビルドアップさせないように、ハイプレッシャーをかけようとした」

 ストイコビッチ監督が名前を挙げた阿部、鈴木はボランチ、槙野、森脇はDFの選手。つまり、浦和の攻撃を抑えようと思えば、前線の選手をマークするだけでは足りず、彼ら「後方部隊」を楽にプレイさせないことが不可欠というわけだ。

 名古屋の戦略は、特に前半、十分な成果を見せた。浦和のペトロヴィッチ監督も、「名古屋がアグレッシブに前から圧力をかけてきたことで、慎重に入らざるをえず、難しい前半になった」と振り返る。

 だが、ペトロヴィッチ監督はこうも続けた。

「90分間を通して、前線からプレッシャーをかけ続けるのは無理。前半は本来の形を多くつくれなかったが、スペースは時間とともに空いてくると思っていた。そのなかで得点も取れたし、他にも(ゴールが)入ってもおかしくないチャンスがあった」

 3バックの中央に入るDF永田充もまた、「前半は後ろ(3バックとボランチ)でいいパス回しができなかった」としつつも、こう語る。

「前線の3枚(興梠慎三、原口元気、柏木陽介)へのマークがきつい分、宇賀神(友弥)のところが空いていたので、そこをうまく使うことができた」

 実際、浦和は名古屋の積極的な守備の前に、なかなかいい形で縦パスを入れることができなかった。だが54分、1トップの興梠が、マークが緩んだ一瞬のスキをついて鈴木からの縦パスを受けると、左サイドを駆け上がってきた宇賀神へスルーパス。これを宇賀神が落ち着いて決めて決勝点を奪った。

 つまりは、3-4-2-1の「4」の左サイドが「1」を追い越して攻撃に参加し、ゴールを陥れたのである。フォーメーションの特徴が存分に生かされた、浦和らしいゴールだった。

 およそ10年のブランクを経て、再び流行し始めた3バック。海の向こうを見ても、イタリアで首位を独走するユベントスや好調のナポリなど、セリエAでは3バックを採用するクラブが増えた。決して日本だけに特有のものではない。

 そんな"トレンド"の先端を行く浦和が完成度の高さを示し、開幕2連勝を飾ったことは非常に象徴的。浦和同様、3バックの熟練した使い手である広島も、開幕戦こそ浦和との「同門対決」に敗れたが、2節ではきっちりと新潟を下している。

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