【Jリーグ】スーパー杯を徹底検証。「打倒・レッズ」の本命は、広島か? 柏か? (3ページ目)

  • スポルティーバ編集部●文 text by Sportiva
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 今季はACL制覇も視野に入れ、ロングボールを多用する海外チームに対応する手段として、3バックという新たなシステムを採用。その分、4バックに慣れ親しんできた選手たちはいまだ戸惑いを隠せず、この日の試合でも攻守において混乱するシーンが目立った。結果、広島に付け入る隙を与え、攻撃面でも思うような形を作れなかったが、すでにチームが出来上がっている広島に比べたら、伸びしろは十分にある。

 まして、今季は浦和に匹敵する補強を行なった。中国の広州恒大から身体能力の高いFWクレオを獲得し、最終ラインにも五輪代表のDF鈴木大輔(アルビレックス新潟→)が加わった。さらに昨夏ドイツに移籍した酒井宏樹の穴を埋める右サイドバックには、韓国代表のキム・チャンスが入った。

 彼らは合流して1カ月あまりで、チームに完全にフィットしているわけではない。それでも、クレオは前線での競り合いの強さを垣間見せ、キム・チャンスも果敢なオーバーラップでチャンスを演出し、秘めた能力の一端を示した。3バックの右を務めた鈴木にしても、1対1の局面では安定したプレイを披露。「彼らの力がチームで機能するようになったら、相当レベルアップしそう」と、サッカージャーナリストの渡辺達也氏は柏の飛躍を予測する。

「柏の出来は、現段階で70%くらい。それで広島と僅差の試合ができたのだから、今後ますます良くなることを考えたら、見通しは明るい。補うべきポジションに、能力のある選手をしっかりと補強したことも、クラブの本気度を感じる。彼らがチームにはまるかどうかは未知数な部分があるけれども、これまでの実績どおりの活躍を見せてくれれば、昨季以上の成績が期待できる。戦力アップが乏しい広島に比べたら、『打倒・浦和』という点では、柏のほうに可能性を感じる」

 昨季は初のACL参戦で序盤のリーグ戦は苦しんだ柏だが、最終的にはACL参戦チームの中では最上位の6位となった。天皇杯では優勝して地力のあることを証明した。

「昨季、ACLを経験したのは強み。リーグ戦を含めて、昨年よりもいい成績を残せると思う。タイトルを獲る自信もある」
 スタジアムを去る間際、そう語ったレアンドロ・ドミンゲスからは、“王者”になった一昨年と同じ空気を感じた。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る