【Ｊリーグ】スーパー杯を徹底検証。「打倒・レッズ」の本命は、広島か？ 柏か？ (2ページ目)

　まさに王者らしいサッカーで勝利した広島は、識者や関係者の間でも高い評価を受けた。一昨年まで横浜Ｆ・マリノスの監督を務めていた解説者の木村和司氏が、「優勝したサッカーに磨きをかけて、完成されたチームだった」と言えば、専門誌『ストライカーＤＸ』編集長の菊地芳樹氏も同様に広島のサッカーを称えた。

「後方からのビルドアップでは、並みのチームなら蹴り出してしまうようなシチュエーションでも、しっかりとつないで（相手の）プレス回避ができるのが強み。そのうえで、佐藤寿人という、決めるべき人間がいるのは大きい。今季は厳しい戦いが予想されるけれども、その中でどうやって点を奪って勝つかということは、この試合で見事に実演して見せた。選手には自信になっただろうし、リーグ戦では今季もいいポジション（順位）を狙えると思う」

　だからといって、広島の連覇が濃厚とは決して言えない。というのも、関係者の多くが優勝候補に挙げ、広島以上に前評判の高いチームがあるからだ。

　昨季、ペトロヴィッチ監督が就任して、いきなり３位という好成績を残した浦和レッズだ。今季も大型補強を敢行し、大幅な戦力アップを図った。就任２年目のペトロヴィッチ監督のもと、戦術浸透度も増している。キャンプ終了後には、ある主力選手が「新しく入ってきた選手もすぐに（チームに）フィットして、練習試合でも韓国のチームを圧倒した。仕上がりが良すぎて怖いくらい」と語るなど、自他共に認める今季のＪの本命だ。

　そうした浦和と比較すると、「広島は分が悪い」とサッカー解説者の川本治氏は分析する。
「スーパー杯では、あくまでも現時点におけるチームの完成度の差が出た。この結果だけで、広島が絶対的な存在と見ることはできない。選手層が厚くないのに、今季はＡＦＣチャンピオンズリーグ（ＡＣＬ）もこなさなければいけないのは何よりネック。得点源が佐藤しかいないのも心許ない。対戦相手の彼に対するチェックは一段と激しくなるだろうから、広島にとっては苦しいシーズンになるのではないか」

　広島のチーム事情に詳しい記者も、今季はマイナス要素のほうが多いという。
「やはり、浦和に移籍した森脇良太の穴は大きくて、戦力的には上積みがない。加えて、レギュラー陣と控えメンバーとの差があって、ひとりでも負傷者が出たらチームの弱体化は必至。その辺りは、森保監督もずっと頭を悩ませていた。ベテランの域に入った佐藤や森崎兄弟が、シーズンを通して働けるのかという不安があるだけになおさらだ」

　ならば、浦和の対抗として面白いのは、この日敗れた柏のほうかもしれない。