2013.01.25

【日本代表】
ザッケローニ監督が考えるダブルボランチの理想的バランス

  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 たとえば、プレミアリーグの強豪クラブでも、4−4−2のセントラルミッドフィルダーが非常に重要視されている。ジェラード(リバプール)が、自陣のボックスから相手のボックスまでをカバーしていると言われるように、このポジションの選手のプレイエリアは非常に広い。今、チェルシーだとブラジル代表のラミレスが中央のMFで起用されているが、ラミレスは攻撃参加もでき、守備もできる選手で、シュートも打ち、同時に味方のために汗もかく。

 このふたりのように、ボランチの選手も攻撃の時はペナルティエリアに入って行ける方がいい。攻撃の時、CBのふたりとSBのどちらかと、ボランチのふたりが自陣近くに残ると、守備は安定するが、そうすると前線の5人で攻めることになり、なかなか相手を崩すことはできない。やはり攻撃は6人目、7人目が絡んでこなければゴールにつながりにくいので、ボランチの選手がいい状況でボックスの中に入っていけるかどうかが今のサッカーの攻撃のカギといえる。

 昨季の広島や浦和もそうだったが、前線の選手がすべてマークにつかれたとき、手詰まりになってしまうケースがある。そのとき、後方の選手が前線に出て行って相手の守備ブロックにズレを生じさせることで、前線の選手達がフリーになれる。そういう動きが今のサッカーのボランチには要求される。

 ひとつのチームを組み上げる過程で、監督はいろいろなポジションのバランスと人間関係を考えながら、フォーメーションも含めて決めていくもの。ちょっと古い話になるが、私が現役のころのオフトジャパンでもそれは同じだった。

 まず左サイドにはMFラモス(瑠偉)さん、SB都並(敏史)さん、左FWにカズ(三浦知良)。今のザックジャパンと少し似ていて、左サイドがストロングポイントになっていたから、左から攻撃を構築することが多いチームだった。そして、右SBを誰がやるというと、あまり攻撃参加しないでバランスをとる(堀池)巧さん。右のボランチは吉田(光範)さん。左は森保(一)。基本的に、このボランチふたりが左サイドにずれてカバーしていく。

 なぜかというと、ラモスさんが左サイドでゲームを作ることが多いから、ラモスさんのカバーをまず森保がやる。その森保のカバーを吉田さんがする。だから、このチームが成り立つためには吉田さんと森保のダブルボランチがとくに重要だった。

 基本的には左で崩してチャンスをつくり、中央にFWの高木がいて、右MFの私も右サイドからゴール前に入っていく形だ。オフト監督は、そういうチームのつくり方をしていたのだと思う。こういった形も含めて、チーム全体のバランスをとるためにはいろいろな考え方がある。

 重要なのは、チームとしての長所をどこで作り出すか。攻守のバランスとよく言われるが、それは、個の能力として攻守のバランスが取れている選手を11人並べることではなくて、チーム全体としてバランスが取れればいいということだ。