【Jリーグ】37年ぶりの天皇杯優勝。柏が備えつつある「強豪クラブの風格」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

「勝つことを考えずに試合に臨む人はいない。ビトーリア(Vitoria/ポルトガル語で勝利)は、ものの考えの根本にあるべきもの。すばらしい仕事をしてくれた選手たちは、そのマインドでともに歩んでくれている」

 柏は昨季のJ1を制しながら、今季は6位。シーズン序盤になかなか勝てない試合が続き、徐々に盛り返してはきたが、結局優勝はおろか、ACL出場圏内である3位にも届かなかった。

 だからこそ、ACL出場のラストチャンスにかける意気込みは強かった。それこそが指揮官の言う「覚悟と決意」だ。

 G大阪に押されながらも、すなわち、すべてが自分たちの思いどおりに進んだゲームでなくとも、きっちりと最少得点で勝ち切ってしまうあたり、柏が王者にふさわしい風格を備えつつあることを物語る。

 無冠では終われない――。そんな王者のプライドが、1-0の“完勝”に垣間見えた。柏にふたつ目のタイトルをもたらした白髪の指揮官が、柔和な笑みを浮かべて口を開く。

「今のレイソルは、選手だけでなくクラブに関わる全員が勝利を信じ、自分たちの役割をまっとうする集団となった」

 現在のJ1は、どこが優勝してもおかしくないほどの大混戦リーグである。だが、そうした群雄割拠の時代にあっても、柏は真の強豪クラブとなるべく着実に階段を登っている。そんなことを感じさせてくれた、柏の天皇杯初制覇だった。

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