【Jリーグ】天皇杯決勝戦。柏はG大阪に4年前のリベンジなるか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki


 シーズン終盤に来て、ようやく昨季の勝負強さを取り戻してきた感のある柏。もちろん天皇杯というタイトルそのものが重要なのは間違いないが、それ以上に昨季のJ1王者のモチベーションを高めているのは、優勝クラブに与えられるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)への出場権ではないだろうか。工藤が「ACLを戦えるチャンスは、これ(天皇杯)を勝たないともうない」と言えば、栗澤は「あの(ACLの)舞台でもう一回戦いたいという選手は多い」と話す。

 選手だけではない。準決勝が行なわれた国立競技場では、ゴール裏に陣取った柏サポーターから、何度なく「ACL」コールが起こった。誰もがもう一度、アジア最強クラブを決める舞台を欲していることの表れだ。栗澤が続ける。

「ACLには独特の雰囲気があり、あれは日本では味わえない。自分が成長できる舞台だし、さらに上も見えてくる。絶対にまた経験したい」

 そんな柏と元日の決勝で対戦するのは、G大阪である。今季はシーズン序盤のつまずきが響き、不振を極めたG大阪だが、「天皇杯マイスター」ぶりは今季も健在だ。過去5年を振り返っても、G大阪は天皇杯で08、09年シーズンの連覇をはじめ、ベスト4以上が4回と、この大会での強さが際立っている。

 今季J1にしても順位こそ伸び悩んだものの、総得点ではリーグ最多の67点を記録するなど、チームとしてのポテンシャルは間違いなく高い。柏の中盤を支える栗澤も、「パス回しや崩しはJリーグで一番うまいと思っている。自由にさせると、リズムに乗せてしまう」と警戒の色を強める。今季のJ1の順位で言えば、6位対17位と大きな開きのある対戦だが、そんな数字は度外視して考える必要があるだろう。

 天皇杯決勝で柏とG大阪が対戦するのは、2008年シーズン(09年元日)以来、4年ぶり。そのときは延長戦の末、1-0でG大阪が勝利している。いわば、G大阪が「マイスター」ぶりをいかんなく発揮したゲームは、スコアこそ僅差だったものの、G大阪の貫禄勝ちだったと言っていい。

 ただし当時は、まだ柏がJ1でも中位から下位を指定席にしていた時代。この2年のJ1での成績を考えれば、柏はもはや一介のチャレンジャーではない。4年前を知る数少ない選手のひとり、栗澤は言う。

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