【Jリーグ】順当?波乱? 天皇杯ベスト4で強豪が激突 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 事実、J2勢で唯一準々決勝に残っていた千葉と対戦した鹿島は、ボールポゼッション率で相手に劣り、思うように試合を進めることができなかった。にもかかわらず、少ないチャンスを確実に生かして1-0の勝利。敗れた千葉の木山隆之監督は、こう言って舌を巻く。

「(鹿島は)リーグ戦では調子が悪かったとはいえ、勝つツボを知っている選手たちがいるチーム。現に今年、タイトル(ナビスコカップ)も取っている」

 対して、勝った鹿島のジョルジーニョ監督は、「今日の目標は準決勝進出。それを達成できてよかった」と言い、最少得点による辛勝もどこ吹く風といった様子で、こう話す。

「勝たなくてはいけない試合だった。大差の勝利は必要ない」

 たしかに、千葉は「守備では大きな破綻なく、攻撃でもある程度ボールを持てる時間があり、いくつかチャンスもつくれた」(木山監督)。それでも鹿島は、動じることがなかった。ジョルジーニョ監督は言う。

「前半は守備の部分でプレスが連動しておらず、相手のボランチが自由になっていた。そこを修正したら、千葉の(攻撃の)ビルドアップにミスが出るようになった」

 悪い流れの前半を経て、修正を施した後半は、立ち上がりから攻勢に出る。そして、鹿島は大迫勇也のゴールで先制した後は、相手にボールを持たれながらも、効果的なカウンターを繰り出しつつ守り切る。実に鹿島らしい、堅実な試合運びでのベスト4進出だった。

 こうして出揃ったベスト4の顔ぶれは、いずれもJ1優勝の経験を持つ強豪クラブばかり。4チームともに今季のリーグ戦では思うような結果を残せなかっただけに、最後の一冠にかける思いは強いのだろう。

 当然、そこには"副賞"という大きなモチベーションもある。というのも、J1リーグ戦上位3クラブと同様、天皇杯優勝クラブにも来季ACLへの出場権が与えられるからだ。

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