【Jリーグ】3バックを採用するチームが増えたのはなぜか? (2ページ目)

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今季の広島の基本フォーメーション。浦和もほぼ同じ今季の広島の基本フォーメーション。浦和もほぼ同じ 広島も浦和も、攻撃のポイントは前線の中央の3人になる。この1トップ2シャドーはバルセロナもほぼ同じ並びだが、トップとすぐ脇にいる2シャドーとの距離感が重要だ。とくに広島は、今季得点王になったワントップの佐藤寿人が非常に好調で、2シャドーとの関係性が非常によかった。寿人が裏に抜け出したり、ポストプレイで2シャドーにフリック(弾く)したり、ゴールゲッターとしてあらゆる局面に対応していた。

 この前線の3人の関係性が、ボールが回りやすい状況を作っているといえる。つまり、トライアングルがピッチ上にたくさんできているということだ。ちなみに、攻撃をしているときの浦和と広島は、4-1-5のような布陣になり、バルセロナの攻撃的な4−3−3に近い並びになることもあるので、スタジアムで観戦するときは注目してみてほしい。

 また、浦和の場合、攻撃が手詰まりになったとき広島のミキッチのような「困ったときは必ずこの選手で勝負」という攻撃の選手がいないが、その代わり、DF槙野智章が攻撃参加をして、前線の5人(1トップ2シャドー+中盤の両サイド)に加わってくることで局面を打開するシーンが見られた。

 守備については、3バックの場合中盤の両サイドがDFラインまで下がって5バックのようになることが多い。中央にDFが3人いる分サイドは空いているが、そこは中盤のサイドの選手がアップダウンすればいいので、役割ははっきりしている。さらに、SBが中央に絞ったり、スライドするなど、距離感を保つための動きがそれほどないので、4バックで守るときと比べて、ポジショニングがそこまで厳密ではない。

 3バックの守備の場合、中央は人数がいるからサイドにはスペースを与えてある程度やられてもいいという判断もある。同時に、中央を締めながらサイドMFを相手のSBにつかせて、時間をかけて守れるという利点もある。これが4バックだと、真ん中がふたりなので中央が薄くなりがちだ。世界トップクラスの強力なCBがいれば問題はないが、そうでない場合、どちらがより失点を少なくできるか、と考えたときに、3バック(5バック)と4バックのどちらを選択するか。判断はさまざまだと思うが、最終的には監督の考え方次第だろう。

 3バックにはデメリットも、もちろんある。5バックになってしまうと、攻撃に転じるときに選手が上がる時間が必要になってよくないという部分と、中盤を支配されて押し込まれてしまうというリスクがある。しかし、失点をしないで勝てるのであれば、5バックで問題ないという考え方もある。そこのバランスをどこでとるかがサッカーの難しさであり、面白さでもある。

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