【U-19】3大会ぶりの世界へ望みつないだ薄氷のグループリーグ突破 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 赤木真二●撮影 photo by Akagi Shinji

 吉田靖監督は、「自信を持って今までやってきたことをやれば、絶対にできるんだから大丈夫だ」と選手には強調しているが、なかなか結果には表れない。矢島も、「最後は落ち着きが大事。相手の寄せが速いので、そこで焦ってしまっている部分がある」と話す。

 さらに言えば、ミスはフィニッシュ以前のつなぎの段階でも少なくない。相手から受けるプレッシャーが原因なのか、緊張が原因なのか、とにかくイージーミスが目立ち、自分たちの目指すサッカーができていない。

 UAE戦ではせっかくボールを奪っても、攻撃に転じようとしたところで、簡単にパスミスでボールを失うことが多かった。結果、次第にリスク回避が優先され、相手に合わせたロングボールの蹴り合いに陥った。「パスサッカー」、あるいは「ポゼッションサッカー」を標榜するにしては、あまりにもお粗末な内容だったと言わざるをえない。

 こうした国際大会では、プレイの選択がある程度"安全第一"になるのは仕方がない。まして次の準々決勝は、世界行きのキップがかかった大一番。なりふり構わず勝ちに行くのなら、それでもいい。自分たちのサッカーを捨ててでも徹底して勝負にこだわることは、決して悪いことではないと思う。

 とはいえ、パスをつなぐことは、リスクを負って攻めることではない。むしろ日本が勝つ確率を高めるための方法なのである。自分たちはこれまでいかなるサッカーを志向してきたのか。それをしっかりと思い出して遂行することこそが、結果的に勝利へつながる最善策であるはずだ。

 幸いにして、DF岩波拓也が言うように「ここ2試合、無失点でやれているのは大きい」。ここから先は、ノックアウト方式の決勝トーナメント。ひとつの失点が、大きな重圧となって選手たちにのしかかってくる。それを考えれば、中東勢特有の高速カウンターやロングボール主体のパワープレイにもよく耐え、失点をなくしていることは好材料である。

 あとは、いかに安定した守備から落ち着いてパスをつなぐ攻撃へと結びつけるか、だ。

 この大会が現行の16カ国参加になった2002年以降の6大会を振り返ると、日本がグループリーグで1位通過を逃したのは初めて。勝ち点4というのも最低の数字であり、グループリーグの段階で、これほどハラハラさせられたことはかつてない。

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