【Jリーグ】木村和司「ナビスコカップの価値ってどうなんじゃろか」 (2ページ目)

  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 それと、サイド攻撃。なかでも、サイドバックのチャンスメイクが少なくなっているんじゃないか。エスパルス対策という側面もあったのだろうが、この試合でも、サイドバックの積極的な攻撃参加はそれほど多くは見られなかった。以前はガンガン積極的に上がってきて、対戦相手としては非常に脅威だったけれども、そんなストロングポイントの破壊力が欠けてきたように感じる。それが、チーム全体としての守備面、攻撃面に、微妙に影響しているのではないだろうか。

 とはいえ、この日のアントラーズは"らしさ"を存分に見せてくれた。

 先発メンバーの平均年齢が23歳というエスパルスが、その若さとリーグ戦での好調ぶりを生かして、序盤からゲームを支配していたが、アントラーズは肝心なところで仕事をさせなかった。ゴール前まで持ち込まれても、危ない場面ではきっちり詰めてフィニッシュまで行かせず、たとえシュートを打たれても体を投げ出してコースをしっかり封じていた。その辺は、さすがよくサッカーを知っているな、と感心させられた。なんとなく、日本代表が欧州遠征で対戦したブラジルのようだったな。

 相手の流れの中でも、常に落ち着いて対応していた。自分たちのリズムに変わるまではじっと我慢して、チャンスが訪れたら、その瞬間を逃さなかった。まさに勝負どころがわかっている、アントラーズらしい戦いぶりを久々に見せてくれたよ。

 そうした試合巧者でアントラーズが栄冠を手にしたけれども、エスパルスもいいサッカーをしていた。ポゼッションではアントラーズを上回っていて、両者の攻防は見応えがあった。試合としてはすごく面白かったし、4万5000人を超える観客も大いに盛り上がって、良かったんじゃないか。

 試合のほうは非常に満足のいくものだったけれども、ナビスコカップについては以前から気になっていることがあるんや。決勝こそ地上波で中継されて、スタンドも満員になるけど、ナビスコカップ全体の注目度は年々低くなっているのが気がかりなんよ。Jリーグもその辺は悩みの種で、いろいろな策を講じてきているが、大会の盛り上げにはさらなる努力が必要なんじゃないか。Jリーグが開幕する前から『ヤマザキナビスコ』というスポンサーがずっとついてくれているのだから、なおさらだ。

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