【Jリーグ】史上初のJからの降格争い。土壇場で戦う鳥取の選手たち (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

 鶴見は39節の大分トリニータ戦でがむしゃらに駆け続け、最後はチームを勝利に導くヘディングシュートを決めている。愛着のあるチームを落とすわけにはいかない。湘南で生まれ育った彼は、鳥取県の境港出身の女性と結婚したばかりだ。

「結婚してからは、すごく嫁さんに世話になっていますね。朝昼晩、料理を作ってもらえますし、生活が規則正しくなった。たまに、『なんでシュート、枠を狙わないの?』なんて素人質問もされるけど、そういうのも“確かに見栄えが良くても、枠に飛ばなきゃ意味ないな”なんて基本に立ち返る刺激になります」

 結婚して責任は増した。

「このまま残留を決められないと、最終節はえづいてしまいそう。そうなる前に、湘南に勝って残留を決めないと」

 鶴見は少し思い詰めた様子で言った。湘南はかつてユースまでプロサッカー選手になるために修行を積み、05年から3シーズンをトップでも過ごした古巣である。現在は3位でJ1昇格がかかっている。

「今は湘南に知り合いは少なくなりました。相手もそうだろうけど、自分たちにとって負けられない試合になるのは間違いない。全員で頑張るだけっすよ」

 11月4日の湘南戦、ガイナーレは自分たちが勝つか、最下位の町田が敗れるか、あるいはどちらも引き分けるかで残留が決まるという。町田はアウェーで水戸と、岐阜はホームで徳島と、富山はアウェーで北九州と対戦する。選手人生を賭けて…・・・肌がひりひりとする戦いが迫る。
 

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る