【名波浩の視点】ベガルタ仙台、タイトル奪取のカギは次節にあり!? (3ページ目)

  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 さて、重要なのは残り4節。ベガルタだけでなく、首位のサンフレッチェにも言えるのは、ともに優勝経験を持った選手がほとんどいない中で、残りの一試合一試合をどう構築していくか。例えば守備では、1試合90分の中にはいろいろな局面があって、我慢しなければいけない時間帯というのがある。これからの試合では、それが50%以上あるかもしれないが、そこで我慢できるかどうか。この日のベガルタのように、無理に前に出て行ったり、ブロックをわざわざ壊してまでチェックにいったり、気持ちが前に出過ぎないことが大切だ。

 攻撃では、ベガルタの場合は2トップに頼り過ぎている面があって、ポストプレイができて球離れの速いときは、非常にテンポのいい形を作るけれども、そうした形を築けないときはそれほど怖さを感じない。そこは課題と考えて、新たな攻撃パターンを試みてもいいだろう。そういう意味では、この試合で富田や菅井が上がってきたときにビッグチャンスが生まれ、点も奪えたわけだから、90分間の中で何度か、そういうリスクを犯すことも必要になってくるのではないだろうか。

 あと、優勝へのポイントとなるのは、ベガルタが次の第31節で、サンフレッチェが第33節で対戦する、セレッソ大阪戦だと思っている。クルピ監督が復帰してから、より攻撃的になって、攻守とも勢いがある。ほぼ残留を確定させて、変なプレッシャーもなくなっている。怖いもの知らずといった感じで挑んでくるだろうから、両チームにとっては相当嫌な相手だと思う。このセレッソから、勝ち点3を積み上げられたほうが、よりタイトルに近づくのではないだろうか。

プロフィール

  • 名波 浩

    名波 浩 (ななみ・ひろし)

    1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍

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