【フットサル】やはり『キング』。ブラジル戦でカズが示したフットサル力 (2ページ目)
前半3分、日本は左サイドで逸見勝利ラファエルがドリブルで相手を抜き去って王国ブラジルから先制点を奪うと、およそ1分後、交代でカズがピッチに登場。スタンドからは大歓声が起こった。
ファーストプレイは自陣左サイドだった。相手を背負った状態でプレッシャーをかけられたものの、左回りにターンしてうまく前を向くと、中にいた森岡薫に浮き球のパス。森岡からの縦へのリターンに走り込んで、シュートを放った(公式記録上はシュートにはカウントされず)。
「いつピッチに入るかわからないのが、フットサルの難しいところのひとつ。だから、アップの仕方がなかなか難しい。(フィジカルが)上がっていたら、(最初の)ワンツーで抜けるところも、もっといい感じにできたと思う。それでも、ああいう形でいけたのは良かったですよ。入り方としてはすごく良かったと思います」
ファーストプレイでいきなり見せ場を作ったカズは、さらに左サイドからピヴォ(前線のポストプレイヤー)の森岡に向けてクサビのパスを通したり、パスを受ける前にフェイク(狭いピッチの中でボールを受けるためのフットサルの基本的な動き)を入れたり、今年1月のFリーグ参戦のときには見られなかった、フットサル選手らしいプレイが随所に見られた。
そして13分、2点目のゴールに絡んだ。左サイドの高い位置で浮き球のパスを受けたカズが右サイドの小曽戸允哉にさばき、小曽戸から左サイドに入った高橋健介へ。最後は前線のスペースに抜けた北原亘がGKチアゴをかわして、無人のゴールに流し込んだ。
このゴールを演出したカズのプレイには、「サッカー選手としてのフィジカルやリーチを生かし、攻撃の起点になる」というミゲル・ロドリゴ監督から求められるものが出ていた。フットサルでは浮き球のパスはあまり多くないが、サッカーのFWにとっては当たり前のプレイでカズは難なく処理した。
カズのポジションは前線で起点となるピヴォと、サイドで仕掛けていくアラの両方をこなす「ピヴォ-アラ」という役割を求められている。ひとつ目のワンツーはアラとして、ふたつ目のポストプレイはピヴォとして、大きな仕事をこなした。これは、カズの"フットサル力"の裏づけとなったのではないだろうか。
もちろん、課題もあった。後半5分には、得意のドリブルで仕掛けていくが、タッチが大きくなってボールがラインを割ってしまった。フットサルはピッチがサッカーよりも小さいため、サッカーのように大きなスペースはない。フットサルのピッチにアジャストしていく必要がある。
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