【Jリーグ】レッズ、優勝に望みをつなぐ奇跡の逆転劇はこうして生まれた

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

ポポ(中央)の執念の一発で柏に競り勝った浦和。写真左は柏木。右は槙野。ポポ(中央)の執念の一発で柏に競り勝った浦和。写真左は柏木。右は槙野。 1-1のまま、すでに試合時間は90分を過ぎ、3分と表示されたロスタイムもまた、まもなく終わろうとしていた。

 J1第27節、柏レイソル対浦和レッズ。前節、ホームでガンバ大阪に0-5と大敗していた浦和にとっては、絶対に勝たなければいけない試合だった。

 首位サンフレッチェ広島との勝ち点差が5まで広がったうえに、今節の試合でも、広島は4-1でサガン鳥栖を破っていた。浦和が優勝争いに踏みとどまるためには、どうしても勝ち点3が必要だったのだ。

 ところが、試合は柏に先制を許す苦しい展開。浦和は前半のうちに追いついたものの、その後のチャンスを生かせず、なかなか勝ち越すことができずにいた。浦和にとっては、すなわち優勝戦線からの大きな後退を意味する引き分けで、このまま試合は終わってしまう。誰もがそう思った瞬間、劇的なクライマックスはやってきた。

 GK加藤順大が、キャッチしたボールをすばやく前線に大きく投げ入れると、交代出場していたMF矢島慎也がこれをヘディング。ボールは大きく広がるスペースに落ちた。そのときである。決着の瞬間は突如訪れた。

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