【Jリーグ】得点数1位でも16位。ガンバ大阪が降格圏にいる「不思議」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Akihiro Sugimoto/AFLO SPORT


 通常、J2降格圏(16位以下)にいるクラブというのは、得失点がマイナスになっているのが当然。さらに言えば、そのマイナスは2ケタに上るのが当たり前だ。事実、J1が18クラブによる1シーズン制となった05年以降、第26節終了時点で16位以下に低迷していたクラブが得失点差でプラスになっていた例はなく、マイナスが最も少なかった05年の大宮(16位)でも-11である。年によって多少の上下こそあれ、得失点差+1だけで見れば、G大阪は少なくとも11位前後にいて然るべきなのだ。

 G大阪が得失点差でプラスに転じている要因は、やはり得点力の高さにある。とりわけ、後半戦に入って、FWレアンドロが移籍加入したのが大きい。レアンドロ復帰後の最近8試合で、G大阪は4勝1敗3分け。しかも、3位浦和を5-0で圧倒した前節の試合を含め、5点差以上の勝利が3つもあるのだから、およそJ2降格圏に沈むクラブとは思えない。

 松波正信監督が「得点の形をいろいろ持っている。決定力の高い選手」と信頼を寄せるレアンドロは、その間、出場7試合で9ゴールの荒稼ぎ。浦和戦で2アシストを記録した左サイドバックの藤春廣輝が、「(以前から)ガンバらしいサッカーはできていた」と話すように、これまでもチャンス自体は作れていただけに、それを決めてくれるストライカーの加入が確実に効果を上げている。

 ここまでの26試合で52得点は、J1最多。残留争いに巻き込まれるクラブというのは、たいてい得点力不足に悩まされるものであり、それを考えれば、あまりに異例の事態である。

 にもかかわらず、得失点差が+1に過ぎないということは、裏を返せば、それだけ失点が多いということでもある。事実、51失点は札幌の69に次ぐ、J1ワースト2。これがJ2降格圏を抜け出せずにいる、元凶であることは言うまでもない。浦和に大勝した後でも、松波監督が「いい形で(次戦以降に)行けると思うが、今日の試合は終わったこと。1試合1試合やるしかない。それだけ考えてやりたい」と、手綱を締めるのも無理はない。

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