【日本代表】
現代サッカーとザックジャパンのGKに求められる能力とは

  • photo by Fujita Masato

 その練習を通じて、DFラインのコントロールを覚えるし、後ろから全体的に試合を見ることで、GKとして指示を出して、DFのポジションを修正していくことを覚える。自分がDFをうまく動かしながらやらなくてはいけないから、ゲームを読む能力、予測する能力、流れを考える力がつく。実はこれが重要だ。

 ひと昔前のGKというのは、GKだけ浮いていたというか、特殊な存在だった。悪くすると、フィールドの選手と違うリズムを作り出してしまうことがあった。ボールが来ました。止めます。考えます。今はこれではもう遅い。だからボールが来る前にいろんなことを見て、考えておいて、パッと止めてパッと出せる。そういう全体のリズムを崩さない、フィールドプレイヤーのひとりとしてプレイができないといけない。その場合、足元の技術があるということは必須で、ここでノッキングしないことが重要だ。

 当然、ボールが進化しているということもあるので、いわゆるシュートへの反応など守備能力もさらに高いレベルを要求されている。判断を早くしていかないと、ブレ球シュートもあるのでファンブルしてしまうことがある。だから、シュートブロックに関してもさらに高いレベルを求められているといえる。

 しっかりつないでいくチームの場合、GKがミスすることは当然ある。バルセロナのビクトル・バルデスがまさにそうで、シーズンに何回かはパスをつなごうとしてミスをして失点する。それでも、監督はそのスタイルでやらせ続ける。やはり、そういうところの精度は続けなければ高めていくことができないということだと思う。

 トータルフットボールのオランダ代表は、早くからGKがパス回しに加わって数的優位を作るスタイルだった。オランダのGKはそういう役割をユースのころから求められているから、ボールを動かすということをずっとやっているが、今はどこの国もそういうスタイルにはなってきているのではないだろうか。

 現在の世界トップレベルのGKは、2m近い選手でも、日本の180cmぐらいの選手と同じような俊敏な身のこなしをしている。イタリア代表のブッフォンにしてもそうだし、チェコ代表のツェフにしても、ドイツ代表のノイアーもそう。だから、日本もこの先、あと5cm、10cmサイズの大きい俊敏なGKがどんどん出てきてほしい。

 そういう意味では日本も育成の段階で、その子どもの両親の身長を見てどれぐらい伸びそうか、また、膝の骨のレントゲンを撮って身長がどれぐらいになりそうか調べたりして、GKを育てているところだろう。

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