【Jリーグ】ゴトビ監督(清水)「我々のサッカーを静岡の鏡に」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

----概して日本のサッカーはそうではありません。

「日本のサッカーは攻撃の時に狭いスペースでプレイします。それはブラジルサッカーの影響が大きいからだと私は思います。我々はマイボールの時、開いていますから、相手ボールになると真ん中が空いています。だからカウンターを警戒する必要はあるのですが、日本の監督はそうしたリスクを冒したくないのでしょう。ただ、ピッチを広く使うことができればボールは支配しやすくなる。ポゼッションは上がります。各所で数的優位な状況を作りやすくなる。長いボールも、深いボールも、短いボールも、縦横無尽に展開できます。このほうがファンタスティックだと思います。

 Eメールの誕生で、世の中はスピード感が増し便利になりましたが、サッカーも同じです。Eメールというパスの通信スピードが上がれば、より多くのスペースが生まれます。数的優位もできあがります。パススピードは我々が最もこだわっている点です。通信スピードこそがサッカーをワクワクさせる要素。私はそう思います。そこに6、7人の選手が絡むサッカーをファンは望んでいるはずです。日本人にはそうしたサッカーを実践できる質があるんです。素早さ。俊敏さ。規律もある。課題を実行する力がある。それがシステムにはまれば素晴らしいサッカーを展開できる。選手は即興性を発揮する必要がありますが、オーガナイズは保たれなければなりません。

 例えばオランダのサッカーは、ウイングの選手が組み立てに加わることで、パスサッカー、ポゼッションサッカー、攻撃的サッカーを実現しています。イタリアのサッカーはゾーンディフェンスで知られますが、彼らから学ぶべき点を現代的に言い換えれば、高い位置からのプレッシングになります。ブラジルの場合は高いスキルですね。アルゼンチンの場合もそうかもしれません。そこに日本人の特性である素早さ、規律を守る姿勢、ハードワークなどを混ぜ合わせれば......エスパルスのサッカーになるというわけです(笑)」

----エスパルスのサッカーはボール支配率がグンと上がりました。ある意味で、静岡らしいサッカーになりつつあると思います。

「我々のサッカーは静岡の鏡として映らなければなりません。情熱や愛の象徴として。そしておっしゃる通り、静岡のファンもそういうサッカーを望んでいるはずです」

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