2012.05.12

【Jリーグ】石川直宏「代表に関しての時間は止まったままだった」

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

日本代表に招集され、石川の闘志に再び火が付いた。 ザッケローニ監督の戦い方がポポヴィッチ監督と似ているなら、FC東京でのプレイレベルを向上させれば、自ずと代表は近づいてくる。

「ポポヴィッチ監督からは『攻撃の隙を見逃すな』と言われます。ゼロックス(スーパーカップ)では、自分が走り出したときに縦にいいボールが出てきて、それがいい形になっていた。ただ、やっている中で向こうも対処してくる。アーリア(長谷川アーリアジャスール)や、(高橋)秀人にも自分を見てくれるように、高いレベルで(パスのタイミングなどを)摺(す)り合わせをしているところです。僕も彼らを感じて走らないといけないし、彼らにも感じていてほしい」

 FC東京はボールポゼッションを重んじ、攻撃に人数をかける。攻撃主体で打ち勝つスタイルだ。それだけに、狡猾(こうかつ)にカウンターを狙ってくるチームの餌食にもなりやすい。

「敵にボールを取られた瞬間のアプローチは、常に自分の課題だと思っています。取られた瞬間に守備をすることで、そこからまた攻撃に移れる。リスクはあるやり方だけれど、自分たち主導の中でやったほうが、サッカーはワクワクするものだし、最高の結果も残せるはずです。何試合か結果が出ないからと言って、自分たちのサッカーが通用しないとは絶対に思わない」

 石川はそう断言した。産みの苦しみは覚悟している。それでも、期待感のほうが強い。自身最多の公式戦(リーグ&カップ)18得点を記録し、「代表の切り札になる」と言われた2009年は、無敵になった気がした。ポポヴィッチ監督の指導を受けるようになってから、そのときに得た感覚以上のプレイができる気がしているのだ。

「30歳になったときに、まさか自分が”荒削りでいいから本能的にプレイしよう”という心境になっているとは思っていなかったんです」と石川は言う。

「2011年は一度もフル出場がなかった。それだけに今シーズンは、チームに必要とされるありがたさを、ひと際強く感じています。日程は厳しいけれど、その経験が自分の力になっていると確信しているし、今のサッカーを続けていくことでもっとタフになれると思う。そんな自分がこれからどうなるか、それも楽しみです。”今だったら海外でプレイしたらどうなるだろう”とか、そんな想像も巡らしたりするんです」

 5月12日、31歳になる石川は全身から野心と鋭気をあふれ出させていた。多くのケガや代表落選など苦難を乗り越えた男は逞(たくま)しい。今後、ザッケローニ監督の日本代表に石川の姿があったとしたら、それは必然である。

 石川直宏(いしかわ・なおひろ)
1981年5月12日生まれ。FC東京所属のMF。左右関係なく、サイドから中央へ切れ込んでのシュートが持ち味。プレイにアグレッシブさが戻ってきた今季、再びゴールを量産しそうな雰囲気がある。175cm/70kg。血液型B。Jリーグ2012年シーズン9試合出場3得点。日本代表国際Aマッチ出場6試合0得点。※試合データは5月10日現在

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