【Jリーグ】石川直宏「ポポヴィッチ監督の言葉に本能を刺激された」 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ポポヴィッチ監督の信奉する攻撃的サッカーは、間違いなく石川が変身するための触媒になった。

「今までやってきたサッカーの上積みは自分の中にあります。でも今シーズンはポポヴィッチ監督のサッカーをする中、“ゴールに向かう迫力をもっと出したい”という気持ちになりました」

 石川は爽やかさに不敵さを滲(にじ)ませる。

「練習場に来たサポーターの人に、『丸く収まってきたなと思っていたけど、最近はごつごつ、がつがつとしたプレイになってきたね!』と声を掛けてもらって、それは嬉しかったですね。自分が送っていたメッセージを受け取ってもらえた気がして。もっと本能のままにボールを蹴りたいです。“ピッチではおとなしくなってはいけない”と思っていますから」

 昨年、石川には娘が生まれている。試合後に娘の顔を見ると、もやもやしていても気持ちが和らぐ。

「子供は好きだったんですけれど、これほどとは……予想外です」

 石川はにこやかに笑う。父になったことも、男として苛烈(かれつ)に闘えるようになった理由のひとつかもしれない。まだまだ彼は変わり続ける。

  石川直宏(いしかわ・なおひろ)
1981年5月12日生まれ。FC東京所属のMF。左右関係なく、サイドから中央へ切れ込んでのシュートが持ち味。プレイにアグレッシブさが戻ってきた今季、再びゴールを量産しそうな雰囲気がある。175cm/70kg。血液型B。Jリーグ2012年シーズン9試合出場3得点。日本代表国際Aマッチ出場6試合0得点。※試合データは5月10日現在

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る