【ACL】日本勢の苦戦が示すアジアサッカーの変化とレベルアップ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

FC東京はブリスベン(オーストラリア)に勝利して、Jクラブで決勝トーナメント進出1番乗りFC東京はブリスベン(オーストラリア)に勝利して、Jクラブで決勝トーナメント進出1番乗り
 昨年のJ1王者、柏は必死だった。

「どんな形でもいいから、勝ち点3を取るという気持ちでやった」

 キャプテンマークを左腕に巻いた北嶋秀朗が、強い口調でそう語ったのは、AFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL)のグループリーグ第5戦。ここまで1勝1分け2敗と苦戦が続く柏は、この試合でブリーラム・ユナイテッド(タイ)に敗れると、グループリーグ敗退が決まる。

 だからこそ、とにかく勝ち点3を取らなければならなかった。果たして柏は、24分にレアンドロ・ドミンゲスが挙げた虎の子の1点を守り切る。

 酒井宏樹が「勝たなきゃいけない試合だったので、みんながひとつの方向へ向かえたんだと思う」と振り返った試合は、1−0で薄氷の勝利。次の最終戦に勝てば、自力で決勝トーナメントへ進出できる道を切り開いた(各組4クラブのなかから、上位2クラブが進出する)。

 それにしても、今年のACLは、日本勢の苦戦が目立つ。

 昨年は、最終戦を前に2クラブ(名古屋、鹿島)がグループリーグ突破を決め、最終的には出場4クラブ(他にG大阪、C大阪)すべてが決勝トーナメントに進出した。ところが今年は、最終戦を待たずに、早くもG大阪のグループリーグ敗退が決まり、逆に突破が決まったのは、FC東京だけという状況だ。

 もちろん、そこでは日本勢(出場クラブに限らず、Jリーグ全体として)が抱える問題を、まずは指摘しておかなければならない。

 確かに、来日外国人選手のレベルは低下傾向にあるし、リーグ全体のクラブ数増により戦力は分散している。また、各クラブの財政的な事情もあって、国内リーグとACLを両立させるだけの選手層を確保できていないという面はあるだろう。

 だが、それ以上に感じるのは、アジア全体のレベルアップである。つまり、日本勢にとってのライバルは、もはや韓国勢だけではないということだ。

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