2012.03.24

【Jリーグ】最大の特長はサイド攻撃。
日本人得点王を輩出し続けるジュビロ磐田の伝統

  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

昨年採用していた4-4-2。前田遼一という強力な日本人FWの存在が大きい

 そのほかの戦力では、今シーズン、前田、駒野友一が残ったのは非常に大きい。ふたりとも欧州クラブへの移籍一歩手前まで行きながら実現しなかったのは残念でもあるが、磐田からすれば戦力ダウンをしなくてすんだということなので、チーム全体に与える影響力も含めて、よかったのではないか。

 磐田の特長としてあげられるのは、やはりサイド攻撃だろう。昨シーズンは右サイドの駒野からのサイド攻撃が多く、得点機を演出していた。また、そのサイドアタックに合わせるFWの動きも、ジュビロの伝統と言っていい。

 ゴール前への入り方、クロスへの対応など、オフザボールの動きが徹底されているし、なによりも点を決める技術と能力を持っている。サイドから崩して、FW⑩⑪が決めるというスタイルがチーム全体で共有できている。

 今シーズンは、現在金園がケガで離脱していることもあって、4-2-3-1の布陣を採用することもあるが、ジュビロはやはりツートップというイメージが強い。以前は3-5-2の時代もあったが、4-4-2でも3-5-2でも、このツートップの関係性が非常によく、距離間、周囲との連動、スペースの使い方を両方が意識しており、トレーニングで教え込まれていることがわかる。

 ふたりのFWの位置関係が絶妙で、どちらかがサイドへ出たり中央に入ったり、あるいは並ばないで前後にズレて段差をつくったり、ワンタッチでボールを動かしたりと、教科書どおりのキレイな動きをする。こうしたFWの質の高い動きとゴールを決める技術が中山、高原、そして前田へと受け継がれてきている。
 
 今、前田の後継者としては、先日の代表合宿にも招集された若手の金園が期待できると思うし、これからもそうした「FWの伝統」が継承されていってほしい。

 また、前線からの守備もジュビロの特徴のひとつで、全員が労を惜しまず精力的に守備のために走り、FWは相手のボランチやアンカーの位置の選手にプレッシャーをかける。昨シーズンの4-4-2の場合、守備のときはツートップが縦関係になることで4-2-3-1に近いフォーメーションなっていたが、FWがハードワークをして相手のパスコースを限定することで、後ろの守備がやりやすくなり、追い込んでいくことが可能になる。

当然、全員がさぼらないで連動できなくてはいけないし、それぞれの役割をきちっと理解している必要がある。攻守両面においてハードワークをするチームであり、手を抜かないということが安定感につながっている。強烈なインパクトはないかもしれないが、選手全員がやるべきことをしっかりやるのが磐田のスタイルだと思う。