【Jリーグ】縮まった実力差。浦和が王者・柏に勝利して今シーズンも混戦模様。 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「攻撃のとき、サイドが高い位置を取るのがうちのやり方。その結果、相手のキーマンを押し込めたのはよかった」

 浦和の両サイドが高い位置を取り、柏を完全に押し込んだことで、レアンドロ・ドミンゲスとジョルジ・ワグネルは守備に追われ、ボランチよりも低い位置にまで下がらされた。これでは、柏も得意のカウンターを繰り出すことができない。特に前半、浦和がゲームを支配することのできた、大きな要因である。

 確かに後半に関して言えば、浦和は「運動量が落ち、やりたいことができなくなった」(ペトロヴィッチ監督)。まだまだ「ハイプレッシャーを受けると苦しい」(柏木)のは、間違いない。柏の猛攻にさらされた後半は、浦和の目指すサッカーが、まだ道半ばであることをうかがわせる。

 しかし、だからと言って、ポジティブな印象が変わるものではない。平川が前向きに語る。

「まだ、やり始めて2カ月。こういう試合も経験だと思う。簡単に蹴っちゃうと、相手にはね返されて拾われる。だから、怖がらずにつないでいくことが大事。今は我慢しながら、レベルアップしていけたらいい」

 それにしても、わずか3カ月半ほど前のことを思い出すと、あまりにも大きな変化に驚かされる。

 奇しくも昨年、柏が初優勝を決めたのがJ1最終節、同じ埼玉スタジアムでの浦和戦だった。当時、不振にあえぐ浦和はなす術がないまま、柏に完敗を喫した。両者の間にある差は、1位対15位という数字が表わす以上の、絶望的なものに思えた。

 だが、その差は劇的に縮まった。

 浦和が柏に勝利を収めたのと同じJ1第2節。今年昇格したばかりのFC東京が、昨年2位の名古屋を破り、同12位のC大阪は同3位のG大阪を破った。

 昨年の成績下位クラブの前に、トップ3が全滅――。今年のJ1もまた、早くも混戦ムードが色濃く漂っている。

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