【Jリーグ】躍進の可能性十分。J2王者FC東京の新体制への期待 (4ページ目)

  • photo by Shimizu Keisuke/AFLO

 こうして戦力を見てみると、FC東京が昨年J1で優勝した柏レイソルのように、旋風を巻き起こす可能性は十分にある。しかし、気になる点もある。それは、天皇杯に優勝したことで獲得した「ACL出場」だ。

 過去、J2から昇格した年にACLに出場するクラブはなかった。しかし、FC東京はJ1昇格と監督交代があったシーズンに、ACLも戦いながらリーグ戦とナビスコカップもこなすことになるので、当然スケジュールが厳しくなる。そのため、選手層を厚くしてうまくやりくりをしなくてはいけないだろう。

 また、チームをつくるにはトレーニングをしっかり積んで新監督のスタイルを選手に浸透させなくてはいけないし、それには時間が必要だ。ACL出場は選手が成長する場が増えることにはなるが、新監督の方針を選手が理解するためのトレーニングの時間が少なくなるということでもあり、それが懸念材料ではある。

 つまり、ポポビッチ体制で、チームをつくりあげるためにある程度の時間がかかるだろうから、その間、思わしい結果が出なくても、クラブやサポーターが我慢できるかどうかということだ。

 新監督に交代したことは、クラブからサポーターへのひとつのメッセージだと思う。結果と内容の両立、そのチャレンジをするために先を見据えてFC東京は監督を交代したということだ。ただ、サッカーの内容や方向性がよくても結果が出ないことはサッカーではよくあること。ポポビッチ監督のやり方で、すぐに結果が出ないとき、クラブが忍耐強くサポートして、バックアップする体制をつくれるかどうかも大切だ。

 ポゼッションを重視する城福さんから、それよりも堅実なスタイルの大熊さんになって、またポゼッションサッカーを志向するポポビッチ監督という流れで、これから先、FC東京のサッカーの伝統がどのように築かれていくのか。今の守備のレベルを維持して、攻撃力を積み上げていけるか。期待したいチームだ。

 Jリーグ全体の活性化のためにも、攻撃的なスタイルでFC東京が上位に食い込んできてほしいし、攻撃的な姿勢を重視するチームがもっと出てきてほしい。攻めていくサッカー、サポーターにたくさん来てもらえるスペクタクルなサッカーを見てみたい。

プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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