サッカー日本代表ワールドカップベスト8のカギは久保建英と鈴木彩艶 福田正博がふたりに期待する理由
■サッカー日本代表は、来年3月のW杯アジア最終予選での勝利で本大会出場が決まるところまでこぎつけた。その先はW杯本大会へ向けての強化になるが、本番までの1年半で福田正博氏が飛躍を期待している選手ふたりを挙げた。
日本代表のワールドカップ本大会へ向け成長が期待される鈴木彩艶(左)と久保建英 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る
【鈴木彩艶は最終ラインのカバーができるか】
サッカー日本代表はW杯アジア最終予選で危なげなく勝ち点を積み上げ、来年3月の予選再開初戦のバーレーン戦で勝利すれば、2026年W杯本大会の出場権を獲得できることになった。
そこを越えれば目標にする『ワールドカップでベスト8以上の成績』のための強化に取り組んでいくことになるが、本大会までの1年半で次のふたりのキーマンの成長は不可欠なものだ。
ひとりはGKの鈴木彩艶(パルマ)だ。世界的なGKに見劣りしない190センチ、98キロの体格は、これまでの日本代表GKにはなかったものだ。W杯アジア最終予選のアウェー中国戦では、相手コーナーキック時に中国の選手たちが密集してGKの動きを封じようと試みたが、鈴木は高さと強さでそれを物ともせずに跳ね返した。セリエAで対戦しているFWは中国選手たちよりもさらに高くて強いだけに、鈴木にとっては難しいプレーではなかったように見えた。
立派な体格に加えて、反応速度の速さと俊敏な動きも抜群にいい。そして、彼がいまパルマで経験値を高めているのが、「前に出るか、出ないか」の部分だ。セリエAのなかで、パルマは最終ラインを高くして守るスタイルを採る。そのために最終ライン後ろの広大なスペースを鈴木が守らなければならない。
彼はもともと前に出ていくことを恐れないタイプだが、闇雲に出ればいいというものではない。ゴールエリアから出て守るのか、とどまるのか。そこの判断力を高める機会はチームの戦い方によるところが大きいなかで、パルマの戦い方は鈴木が伸ばすべき能力とマッチしていると言える。パルマでGKとして大輪の花を咲かせてもらいたい。
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著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。