三笘薫のウイングバック起用はミスキャスト 相手が強ければ「超攻撃的」になどなり得ない (2ページ目)
【ウイングバックというポジションの特性】
日本人ナンバーワンアタッカーをどう活かすか。日本代表のマックス値の上昇を図ろうとすると、これは避けて通れない命題になる。ところが、森保一監督はここ最近、3-4-2-1を多用。三笘を左ウイングバックに据えている。
SB系の選手ではなくウインガーをウイングバックに据える布陣を、多くのメディアは「超攻撃的3バック」と称し、中国戦、バーレーン戦の大勝劇はその賜だと持ち上げた。
だが、ウイングバックはウイングとは役割が根本的に違う。それは「ウイング兼バック」の役割を持つ、ひとりで二役を担う、重労働を強いられるポジションなのだ。相手が弱い間はウイング色を全面に出しながらプレーできるが、相手が強くなるとバック色が増す。
サイドはピッチの廊下。そこでの数的不利、数的有利は、試合展開に大きな影響を及ぼす。サイドを制すものは試合を制す、である。競った関係になればなるほどそれは色濃く投影される。
想起するのはカタールW杯だ。森保監督は本番で突如、5バックになりやすい守備的な3バックを採用。三笘はそのウイングバックとして、4試合すべてにおいて交代出場を果たした。
たとえば決勝トーナメント1回戦。クロアチア戦で三笘はどれほどウイング色を発揮できただろうか。アタッカーとしてプレーした時間と、バックとしてプレーした時間はどちらが長かったかと言えば、後者だ。断然、バック色が強めだった。"超攻撃的3バック"とはしゃぐ人は、カタールW杯を見ていたのだろうか。
世の中にこの手のサンプルはごまんと溢れている。常識中の常識である。相手は、ウイングバックをウイングではなくバックになる時間のほうが長くなるように仕向けてくる。サイドで数的有利を作り、ウイングバックのウイング色を消そうとする。対抗策はほぼゼロだ。
さらに言えば、三笘をウイングバックで使えば、先述した進境著しい真ん中でのプレーは期待できなくなる。三笘本来の魅力は半減する。
2 / 4