A代表再スタートの裏でパリ五輪世代は強豪ドイツに引き分け「手応えは得た」が、悩ましい懸念材料が浮き彫りに

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 A代表がワールドカップ後の再スタートをきったのと同じ3月24日(現地時間)、ドイツ・フランクフルトでは、U-22日本代表がU-22ドイツ代表との親善試合を行なった。

 結果は2-2の引き分け。ピッチ状態が非常に悪く、思うようにボールコントロールができないなか、体格で勝るドイツのハイプレスを前に、試合序盤の日本は苦しんだ。

「選手の個人個人の圧力は想定していたつもりだったが、やっぱりトップレベルになるとあれぐらいの圧力は普通なんだな、と。選手も面食らった部分があった」

 チームを率いる大岩剛監督も試合後、そう話していたように、そこではおよそ4カ月前に見たワールドカップでのドイツ戦前半を想起させるような、一方的に押し込まれる展開が続いていた。

 何度もペナルティーエリア内への進入を許した日本は、前半40分、こらえきれずにファールを犯してPK献上。先制点の奪われ方までよく似ていた。

 だが、カタールでの記憶と違っていたのは、失点する以前の前半半ばあたりから、日本は少しずつ攻撃の形を作れるようになっていたこと。中盤のMF鈴木唯人、MF山本理仁がスペースを見つけてポジションを取り、ボールを受けられるようになっていたことだ。

 劣勢の状況は一変せずとも、試合の流れは変わりつつあったと言っていい。大岩監督が語る。

「最初はセーフティにやっていたが、徐々に慣れて、自分たちがやろうとすること、しっかりとボールを支配するところは、チャレンジしようとする姿勢があった」

 ゲームキャプテンを務めた山本もまた、「立ち上がりは割りきって(セーフティに)やるのは、みんなで話していた。そのなかで10 ~15 分過ぎて、ある程度落ち着いた展開になったところで自分らがボールを持ってやりたいことを(やろう)というのは事前から話していて、それができた」と振り返る。

 はたして、日本にすぐさま同点ゴールが生まれたのは、前半43分。MF佐藤恵允の得点自体はCKから生まれたものだったが、そのCKにつながったのは、MF山田楓喜が放ったカットインからのミドルシュートである。

 アンカーのMF川﨑颯太が自らボールを前に持ち出し、うまくハーフスペースにポジションをとった山本に縦パスを通すと、ボールは右サイドに開いていた山田に渡り、シュートチャンスにつながった。山本が振り返る。

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