日本代表監督に求められる資質は激変している。森保一監督続投記者会見で感じたこれだけの疑問

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Kyodo News

 2026年W杯まで3年半。12月28日、森保一監督の続投発表会見が都内のホテルで行なわれた。計8年の長期政権といえば、会見場の壇上で森保監督の傍らに座る田嶋幸三サッカー協会会長も同じである。就任したのは2016年。会長をそれまで選挙で選出してこなかった日本サッカー協会は、FIFAからの指導もあり、2015年、会長選挙を初めて行なった。

 その結果、田嶋会長が原博実氏(現大宮アルディージャフットボール本部長)に競り勝ち現職に就いたわけだが、当初2年だったその就任期間は4年に延長され、そこで行なわれるはずだった選挙も、立候補者が現職の田嶋会長ひとりだったため無投票となった。

 現在は4期目。任期は2024年まである。次回の選挙に立候補することはさすがにないと思われる。となれば、森保監督の任期とは2年しか重ならない。2026年W杯時は別の会長で臨むことになる。

 森保監督がそこで後ろ盾を失う可能性はなきにしもあらず、だろう。ひな壇の上に同席する反町康治技術委員長はW杯後、2時間ほど森保監督と膝をつき合わせて話し合ったという。森保監督に対しそれなりの注文を出したようである。もう少し攻撃的にいくベきだと率直に言ったかどうかは定かではないが、この日の会見では、必ずしも両者の思惑が100%一致しているような印象は受けなかった。

記者会見に臨んだ(左から)反町康治、森保一、田嶋幸三の各氏記者会見に臨んだ(左から)反町康治、森保一、田嶋幸三の各氏この記事に関連する写真を見る ロシアW杯から4年半の間、森保監督の周辺で波風はそれなりに立っていた。カタールW杯アジア最終予選の初戦でオマーン戦に敗れ、さらに3戦目でサウジアラビアにも敗れると、解任論はヒートアップした。危ない橋を渡りながらの4年半ではあった。向こう3年半、安泰でいられるか。何か事件は起きるのではないか。大丈夫だと太鼓判を押せるほどサッカーは甘くない。複雑な競技であると考える。

 とはいえ、次回のW杯のアジア枠は8.5だ。誰が監督を務めても敗退することはないと思われる緩い設定である。これまでは4.5枠だった。2006年ドイツW杯からこの設定で予選を5度戦っているが、本当に危なかったことは1度もない。少なくとも4枠からはみ出し、プレーオフを戦ったことはないのである。

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