なでしこジャパンE−1連覇も、見えない突破口。W杯まであと1年で「試合を読むリーダー」は現れるか (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・撮影 photo&text by Hayakusa Noriko

W杯まであと1年

 今大会キャプテンマークを巻いた清水梨紗(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)が「海外組が入ればアクセントをつけてもらえる。でも、戦うベースは国内組。E-1で土台は作っておくべき」と語っていたように、守備のベースは構築できた。

 そこから攻撃へのビルドアップ、耐えるところ、リスクを負っても打って出るところ、攻守の勝負どころの狙いをピッチ上で誰がどうまとめていくのか。百戦錬磨の域に達している熊谷を脅かすまではいかずとも、肩を並べられる選手がそろそろ出てきてほしい。できればすべてのラインに欲しいくらいだ。リーダー不在だからこそ、そのチャンスはそこかしこにあった。

 池田ジャパンは昨年10月に発足してまだ1年目と考えれば、現状は悪くない。しかし、この代表のスタートは、コロナ禍で東京オリンピックが延期されたことにより、本来の強化期間からすでに1年遅れている。結点をあえてパリ五輪ではなく来年のW杯とすれば、残り1年しかない。

 東京オリンピックの枠「12」のうち、ヨーロッパ勢の枠は「3」だった。今や世界の女子サッカーの勢力図の中心にいるヨーロッパ勢は、この3チーム以外、早い国では2019年のW杯後から強化をスタートさせている。すでに2年の差が生じている上、島国である日本はコロナ禍で親善試合を組むことも難しい現状がある。

 今大会は貴重な国際試合3連戦だった。当然「タイトルを獲る」という体験も貴重だが、そこに至るまでに国際トーナメントでしか得られない成長への貪欲さをもっと見せてほしかった。

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