湘南ベルマーレの田中聡が日本代表に上り詰めるまで。昨季は「ボールに触るのが怖かった」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

---- 当時は主に3バックの左で出場していました。

「DFラインの選手がほとんど全員ケガをして、試合が成り立たないくらいにメンバーがいなくなったので、急遽自分が出ることになったんですけど、それが意外としっくりきて。特に違和感はなかったです。

 うしろからでも攻撃参加できますし、何も考えずに楽しんでいたっていう感じです。そこから試合に出られるようになり、パフォーマンスも上がってきました。若い時はポジションどうこうではなく、試合に出ることが一番大事だと思ってやっていました」

---- 昨季は晴れてトップチーム昇格。リーグ戦36試合に出場しましたが、主力として自信を持ってプレーできましたか。

「やってやろうっていう気持ちはありましたけど、開幕してから自分のパフォーマンスがそんなにいいわけではなく、チームもなかなか勝てない状況だったので、けっこう壁にぶつかった感じでした。2種登録のころに比べたら自信を失っていて、ボールに触るのが怖かったくらい。特にシーズン序盤はすごく苦戦してました」

---- 昨季は主にボランチでプレーしました。

「いざやってみると、DFよりプレッシャーがかかりますし、ボランチとしてはまだプロでは通用していないなって思い知らされました」

---- チームがなかなか勝てず、残留争いを強いられたことも自身のプレーに影響しましたか。

「勝てない時期はみんなすごくピリピリしていましたし、チームの雰囲気もJ2降格がなかった年(2020年)とは全然違いました。シーズン終盤には、精神的にも本当に厳しい時期がありましたから。でも、今考えると、すごくいい経験だったのかなって思います」

---- その間には浮嶋監督が解任され、新たに山口智監督が就任。プロの世界の厳しさを目の当たりにしたのではないですか。

「敏さんが解任された時、自分は(U−20の)代表活動へ行っていたので電話で知ったんです。敏さんが監督をやった最後の試合(2021年J1第27節・浦和レッズ戦)は引き分け(0−0)でしたけど、内容もそこまで悪くなかったと自分では思っていたので......。

 それでも解任されてしまって、(山口)智さんが新しく監督になって、厳しい世界だなっていうのをすごく感じました」

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