森保一監督は気がついているのか。日本代表が中国戦でチャンスをつくれなかった理由

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by KYODO

 中国代表は、登録メンバー24人中22人を23歳以下の若手選手で固めていた。国内組の日本より、純然たるA代表から遠そうなチームだった。アレクサンドル・ヤンコビッチ監督のサッカーが、こちらの目をひく優れたサッカーをしていたわけではない。日本にとって2-0ないしは3-0に準ずるスコアで勝たなければならない試合だった。

 決定的なシュートを外しまくったわけではない。惜しいチャンスと言えるのは、細谷真大が脇坂泰斗の洒落たアウトサイドパスを受けながら、決めきれなかったシーン(後半8分)ぐらいで、0-0は必然性のある順当なスコアと言えた。

 中国が健闘したと言うより、日本が勝手にズッコケた試合。もう少し言うならば、森保一監督の監督としての能力に、またしても限界を感じた試合となる。

中国に引き分け、憮然とした表情の日本代表の選手たち中国に引き分け、憮然とした表情の日本代表の選手たちこの記事に関連する写真を見る 4-2-3-1の1トップに起用した初代表の細谷は、縦への推進力に優れたスピード系の選手だ。ポストプレーヤーではまったくない。一方、1トップ下として出場した脇坂は、アタッカーというより中盤系だ。両者が前線で縦の関係を組めば、それぞれの距離が離れ気味になること、細谷が孤立気味になること、すなわち1トップと1トップ下の良好な関係を築くことが難しいことは、最初から読めていたはずだ。

 森島司が4-2-3-1の3の左として先発した左サイドにも問題は目立った。2017年までサンフレッチェ広島の監督を務めていたにもかかわらず、森保監督は、森島に3の左としての適性が欠けることを気がつかなかったのだろうか。彼が左サイドでSBの佐々木翔と良好なコンビを組むことができなかったことも、日本が苦戦した大きな原因のひとつである。

 香港戦後のレポートに、筆者は、右サイドに比べて日本の左サイドは機能しなかったと、記しているが、森島と佐々木の広島勢がコンビを組んだこの日は、その上をいく酷さだった。この2人のコンビからマイナスの折り返しが送られたのは、わずかに1度。佐々木が蹴った前半34分のシーンのみだ。森島は縦を狙わなかった。狙う素振りさえ1度も見せなかった。そこに適性がないことは一目瞭然となった。

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