海外組を含めた日本代表でも試したくなった香港戦の選手とコンビネーション (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

鎌田大地、南野拓実と渡り合える

 山根と水沼。山根が所属する川崎フロンターレは、横浜FMとは宿敵同士の関係にあるが、この日の両者はもっと一緒にプレーする姿を見たいとの感想を抱かせた。2ゴールはその産物だった。5点目は山根が右に開いた水沼に預け、そのリターンの折り返しが相馬のゴールにつながった。6点目はその反対に、サイドに開いた山根からパスを受けた水沼が深い位置から折り返し、それが町野の得点のお膳立てになっていた。

 思わぬ発見である。純然たるA代表に加えたくなるエッセンスだ。あるレベルに達した実践的で完成度の高いコンビネーションプレーに見える。

 右からの崩しで2ゴールを奪った町野に対し、西村拓真は自らの個人能力で2ゴールを叩き出した。3点目のゴールは右足ミドル、4点目は左足ミドルと、その2ゴールには幅の広さも見て取れた。

 後半19分、相馬と交代でピッチに登場した宮市亮にも感じたことだが、元チャンピオンズリーガーという看板が、ダテではないことを証明した瞬間でもあった。A代表にふさわしい2ゴールとも言える。ライバルは鎌田大地、南野拓実あたりになるが、西村にはヘディングもある。高いディフェンス能力。1トップでも十分いける多機能性もある。なによりタフで走力がある。彼らと互角以上に渡り合えそうな、まさに上がり馬になりそうなプレーを西村は披露した。

 試合そのものの屋台骨を支えたのは横浜FM所属の2人組だった。岩田智輝と藤田譲瑠チマ。従来の4-3-3ではなく4-2-3-1的な4バックを敷いて戦ったこの試合で、それぞれダブルボランチとしてプレーした。

 冒頭でも述べたとおり、即席チームである。この11人が過去に同じピッチに立ったことは一度もない。戦前、最も危惧されたのはチームとしてのバランスだった。そこで森保一監督は、ふだん横浜FMでプレーする気心の知れたふたりを、この「ヘソ」の位置に据えた。1人ではなく2人だったところがミソだった。

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