堂安律は「もっとゴールを獲れる」理由。風間八宏がストロングポイントを分析 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

最後の4分の1のゾーンで持ち味を発揮

 カタールW杯アジア最終予選で、一時はメンバーから外れた時期もあった堂安だが、6月の4連戦では2試合に先発し、2試合に途中出場を果たすなど全試合に出場。とくにパラグアイ戦では鎌田大地のゴールを演出するなど、改めて存在感を示した。

 カタールW杯に向けて、堂安がメンバーに生き残り、またスタメンの座を狙うには何が必要なのか。期待をこめて、風間氏に課題を聞いてみた。

「堂安は、最後の4分の1のゾーンで持ち味を発揮する選手で、そこでは時間や場所がなくても自分の強みを出せるという優位性を持っています。

 ただ、試合によっては4分の3までのところで相手に止められてしまい、自分が得意とするゾーンでプレーできない。たまに堂安が消えてしまう試合があるのは、そういった原因があります。そこは、自陣からでも相手に攻撃をしかけられる伊東とは違ったキャラクターなので、対戦相手や試合展開によって、どうすれば自分のよさを発揮できるのか、工夫する必要があるでしょう。

 とはいえ、堂安はプレーの幅もあって、トリッキーなプレーもできるので、相手選手や見ているファンを驚かせることができる貴重な選手です。起用方法によっても、まだまだ新しい一面が見られる可能性を秘めていると思います」

 絶対的なストライカーが存在しない現在の森保ジャパンでは、とくに2列目の選手がゴールに絡めるかどうかが試合を大きく左右する。そこが、堂安にも求められている。

 果たして、フライブルクへの移籍によって、堂安のプレーにまた何らかの変化が現れるのか。これまでの成長過程を振り返ってみても、新しい環境で新しい自分を見つける傾向があるだけに、新シーズンの堂安のプレーは要注目だ。

堂安律
どうあん・りつ/1998年6月16日生まれ。兵庫県尼崎市出身。ガンバ大阪ユース時代の2015年にトップチームでデビューし、3シーズンプレー。2017年のFIFA U-20ワールドカップでの活躍後に、オランダのフローニンゲンへ移籍。2019年には同じオランダのPSVでプレー。2020-21シーズンはドイツのアルミニア・ビーレフェルトへローン移籍でプレーしたが、PSVに戻った昨シーズンは、同チームのリーグ2位、国内カップ優勝に貢献。2022-23シーズンからはドイツのフライブルクでプレーする。日本代表は2018年の森保ジャパンスタート時から招集されている。2021年には東京五輪に出場。

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風間八宏
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

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