日本代表・遠藤航の武器は「眼の速さ」。風間八宏が解き明かす「デュエル王」の正体 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

森保ジャパンのバロメーター

 そうなると、期待したくなるのはカタールW杯。日本代表チームのヘソでプレーする遠藤が、ドイツやスペインといった強豪を相手に、どれだけの仕事ぶりを見せてくれるのか、という点だ。

「現在の日本代表を見る時、遠藤の周りの選手が、遠藤とどれくらいの距離にいるかを見てみると、チームの状況がわかりやすいと思います。遠藤がたくさんボールを受けている時、相手を捕まえられている時は、チームがよい状況。逆に、ボールに関われない、相手を捕まえられない時は、チームが苦しんでいるサインになります。

 それは、遠藤個人のパフォーマンスが悪いというより、周りの選手との距離の問題だと見ていいと思います。それも含めて、遠藤が日本代表のバロメーターであることは間違いありません」

 6月の4連戦では、とくに最後のチュニジア戦で、風間氏が指摘したような、チームが苦しんでいるサインが見て取れた。そのような状況を作らないために、森保一監督はどのような工夫をするのか。

 カタールW杯を戦ううえで、そこがひとつのポイントになりそうだ。

遠藤航
えんどう・わたる/1993年2月9日生まれ。神奈川県横浜市出身。湘南ベルマーレユース時代の2010年にトップチームでデビューし、6シーズンプレー。2016年からは浦和レッズ、2018-19シーズンからヨーロッパへ渡り、ベルギーのシント=トロイデンで2シーズンプレー。、2019年からはドイツのシュツットガルトへ。この2シーズンはリーグのデュエル勝利数で1位になるなど活躍。日本代表は2016年リオ五輪、2021年の東京五輪と2大会に出場。A代表は2015年にデビューし、2018年ロシアW杯のメンバーに。森保ジャパンでは中盤の欠かせない存在としてプレーしている。

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風間八宏
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

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