日本代表・遠藤航の武器は「眼の速さ」。風間八宏が解き明かす「デュエル王」の正体 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

眼が優れている

 その技術の高さに加え、風間氏は遠藤が持つもうひとつの特長を指摘してくれた。

「ひと言で言えば、眼が優れているということ。彼はそれほど身長が高いわけではありませんが、空中戦も強いですよね。なぜかと言えば、ボールがどこに落下するかがよく見えているからです。

 おそらく動体視力も相当に高いと思いますが、ボールの動きを見る力が予測力となって、ヘディングの競り合いで勝てるわけです。そこには、当然ながら相手の動きを見る力も含まれてきますので、そういったボールや相手の動きを見極めるスピードが速い、という言い方もできるかもしれません。

 たとえば、ブンデスリーガの昨シーズン最終節で遠藤が決めたヘディングシュートなどは、その典型例だと思います。あのコーナーキックの場面で、遠藤があのポジションにいたのは偶然ではなくて、ボールや相手の動きを素早く見極めたうえで、予測してあのポジションに入っていった。眼が優れているというのは、そういうことです。

 少なくとも、普通の選手とは違った特別な眼を持っている選手と言えるでしょう。そういう意味では、前回紹介した伊東純也の武器が走る速さだとすれば、遠藤の武器は眼の速さだと言えますね。

 しかも、遠藤は戦術眼も優れている。シュツットガルトでのプレーを見てわかるように、中盤の低いエリアだけでなく、最近は前に出て行っても同じようにボールを奪う力を発揮できるようにもなりました。それは、前のエリアでもしっかり視野を作れているからです。

 視野を作ることは、意外と難しいものです。なぜなら、何を見るかという目的がなければ視野は作れないからです。しかし、遠藤は何を見るかがわかっているから、どのエリアでも視野を作れるうえ、そのスピードも速い。その速さがあるというのは、イコール、頭がよいということ。だから、ドイツでデュエル王になれたのだと思います」

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