山本昌邦が森保ジャパンに望むこと。「大事なのはいい選手を集めるより、結束力」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 かつてJリーグができたばかりの頃は、子どもたちに夢を聞くと、『Jリーガーになりたい』だったのが、今では『プレミアリーグで優勝したい』とか、『チャンピオンズリーグで優勝したい』とか、『日本代表でワールドカップを優勝したい』になっているんです。子どもたちの意識が変わって、もう目標値が3段階くらい上がっている。それこそが、日本サッカーの成長だと思います。

 僕は(日本サッカー協会の)技術委員をしていて、アンダーカテゴリーの選手と接する機会がありますが、そこで話を聞いていても、20、30年前とはまったく違う。彼らの頭のなかには、以前とは明らかに異なる景色が描かれています。未来の目標設定が高くなれば、いずれはそこにたどり着けるはずです」

 では具体的に、日本は未来にどんな景色を頭に描き、実現する必要があるのだろうか。

「チャンピオンズリーグの本戦で、日本人選手が何十人もプレーするようになることだと思います。そのなかでも、ベスト4に進むようなクラブで10人くらいがプレーするようになれば、いよいよワールドカップ優勝も狙えるか、ということになってくる。

 今年は、長谷部(誠)や鎌田(大地)がフランクフルトで、ヨーロッパリーグではあるけれどチャンピオンになって、小野伸二(フェイエノールトで2002年にUEFAカップ優勝)以来、ヨーロッパタイトルのカップを掲げたわけです。そういう選手が常時出てくるようになれば、いずれすごいことが起こせると思います。そんな選手は、20年前にはほとんどいなかったわけですから」

 それはすなわち、「世界基準の日常をどう実現していくか、に他ならない」と、山本は言う。

「そのためには、育成(に力を入れる)しかない。指導者と選手の育成。特に選手の育成の質をどう上げて、どう継続していくか。まずはU-17やU-20ワールドカップで優勝しないと、ワールドカップの優勝はないと思います。

 2002年ワールドカップで活躍した小野や稲本(潤一)も、世界2位(1999年ワールドユース選手権準優勝)になったことで自信満々にプレーできるようになったし、その時に優勝したスペインが、約10年後に初めて世界チャンピオン(2010年ワールドカップ優勝)になっている。

 今、イングランドが強くなっているのも、(2017年に)U-17やU-20の両方で世界チャンピオンになったから。育成がうまくいっているからだと思います」

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