伊東純也のプレーを風間八宏が分析。スピードは「無敵」。精度が上がったクロスは「敵がいない場所に供給できている」 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

カタールW杯で伊東をどのように使うか

 日本は、迫りくるカタールW杯のグループリーグで、ドイツやスペインといった強豪との対戦が決まっている。当然、相手に押し込まれる時間は長くなると予想される。しかし、自陣に押し込まれると、相手のDFラインの背後には広大なスペースが生まれる。伊東にとっては、自慢のスピードを生かす絶好の機会だ。

「日本にとって、伊東をどのように使うかは、とても需要なポイントになるでしょうね。ただし、相手は一流選手の集団ですから、アジア予選の時のように単純に相手と競走するだけでは、止められてしまう可能性もあります。貴重な武器なだけに、どのタイミングで使うかも含めて、しっかり使い方を考えておく必要があるでしょう」

 気になるのは、前方にスペースがない状況で、伊東がどのようなパフォーマンスを見せられるかだ。カタールW杯グループリーグ第2戦の相手はコスタリカに決まったが、おそらくその試合では、ドイツ戦やスペイン戦と違って、日本が相手を敵陣に押し込める時間も増えてくる。

 しかし、風間氏は心配無用だとして、その理由を次のように説明してくれた。

「確かに以前の伊東であれば、そういった不安があったかもしれませんが、最近は周りの選手と絡めるようになってきました。たとえば相手が引いて守ってくる試合で、自分の前にスペースがない状況でも、周りの選手を使って突破したり、逆に周りの選手に使われることで局面を打開したりするようになっている。そこは、彼が成長した部分だと思います。

 もちろん、その時に大事になるのは、誰と組ませるかということ。それによって、伊東自身のリズムも変わってきます」

 もうひとつ、伊東の武器として挙げられるのが、クロスボールだろう。昨シーズンのベルギーリーグでは、シーズン18アシストを量産するなど、得点を演出する部分でも大きな成長を見せた。

 それは日本代表でのプレーにも言えることで、かつては1試合で十数本のクロスを供給しながら、なかなか味方に合わないシーンが多く見受けられたが、アジア最終予選を戦う頃には、ピンポイントクロスでシュートシーンをつくる機会が増えた。つまり、クロスボールの質が上がったように見える。

 その変化について、風間氏が解説してくれた。

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