アジアカップ3位のU-21日本代表。「パリ五輪世代」でA代表入りを狙える選手は誰か (4ページ目)

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • photo by AFLO

最もアピールに成功した選手

 鈴木唯人に関しては、今大会で最もアピールに成功した選手と言える。今回のメンバーでは、今年1月のA代表候補合宿に参加しており、大会前から期待値が大きかった選手のひとりだ。

 UAEとの初戦でゴールを決めると、準々決勝の韓国戦では2得点を含む全3得点に絡む大活躍。相手に囲まれてもボールを前に運べる力があり、今年に入って改善された決定力も如何なく発揮。勝負どころで決めきる力も示した。

 3位決定戦後のコメントでも「A代表は同じ期間に親善試合でブラジルと対戦している。そのなかに入ってもできるぐらいのレベルに、まずはならないといけない」と話すなど、現状に満足していない点も好印象。

 1月の合宿参加で意識が高まり、日常を変えることに成功した。A代表のピッチに立てれば、さらなる刺激を受けて自分を高められる素養、バイタリティーを持つ。7月にE-1選手権を経験できれば、もしかするとカタールW杯行きも見えてくるかもしれない。

 そして、昨年の東京五輪を飛び級で経験しているGKの鈴木彩艶は、条件付きで推薦したい。今大会のパフォーマンスは圧倒的で、ハイボールの処理、1対1やミドルシュートの対応は大会屈指のレベルにあった。

 海外勢と対戦しても決して競り負けないパワーも持ち合わせており、ビルドアップやフィードの質も高い。所属の浦和では今季からジョアン・ミレGKコーチと新たな取り組みにトライ。よりよい状態でボールに反応するためにポジショニングなどを修正し、その成果が出ているのもプラス材料だ。

 ただ、気になるのはクラブでの立ち位置だ。浦和では西川周作の控えに甘んじており、カップ戦の出場が主となっている。残された期間でのレギュラー奪取が招集のキーになるだろう。

 果たして今大会の出来を受けて、U-21日本代表からA代表に向かう選手はいるのか。そうした選手が出てくれば、パリ五輪世代の強化はさらに進む。

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