アジアカップ3位のU-21日本代表。「パリ五輪世代」でA代表入りを狙える選手は誰か (3ページ目)

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • photo by AFLO

A代表経由パリ五輪行き

 ところで大岩監督は、チーム発足当初から「A代表経由パリ五輪」という方針を掲げている。以前の五輪代表であれば、U-23世代で国際舞台を経験しながらステップアップを目指してきたが、東京五輪世代ではA代表を主戦場とする選手が増えてきた。

 早い段階で活躍の場を欧州に移し、五輪世代のうちにA代表に選ばれる。これはチームの強化にポジティブな影響をもたらす。だからこそ、指揮官もそうしたメッセージを何度も発信している。

「A代表に向かっていく途中でパリ五輪がある点を訴えていきたい」と、大岩監督もそうした選手のプレーぶりを評価しており、大会後にはA代表の森保一監督に選手の情報を伝えたという。

 7月には東アジアのナンバーワンを決めるE-1選手権が控えているが、インターナショナルマッチデーの期間以外の開催で海外組の招集は見込めず、国内組でもベテラン勢が招集されないと言われている。

 だからこそ、パリ五輪世代の選手にとっては今大会がA代表入りに向けてアピールできる場でもあった。

 なかでも藤田、鈴木唯人、鈴木彩艶(浦和レッズ)はA代表でプレーできる可能性を感じさせた。

 藤田は全6試合に出場し、うち先発出場した4試合はキャプテンとしてピッチに立っている。ピッチ内外で抜群のリーダーシップを発揮し、自発的にチームメイトを鼓舞。UAEとの初戦ではミスが続いたチェイス・アンリを気にかけ、何度も声を掛けて平常心を取り戻させようと試みていた。

 また、サブに回った3位決定戦のウォーミングアップでは自らの判断でスタメン組の練習に残り、モチベーションを高める声を掛けてチームの気持ちをひとつにさせた。プレー面でもずば抜けており、豊富な運動量とボール奪取能力はA代表でも通用する。

 1ランク上のステージで戦う際に繋ぎの面で不安を残すが、課題と向き合いながら所属クラブで絶対的な地位を確立できれば、A代表にチャレンジする権利はあるはずだ。

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