日本代表はなぜ「ローテーション起用」に消極的? 東京五輪もロンドン五輪も最後は息切れ。W杯でも同じ過ちを犯すのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

カタールW杯、目標達成のカギ

 一方、対照的な選手起用で成果をあげたのは、2016年のU−23アジアカップ。日本が過去にただ一度優勝した大会である。

 リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねたこの大会、日本は苦戦が予想され、リオ行きを危ぶむ声も少なくなかった。

 だが、チームを率いる手倉森誠監督はコンディションを重視して、選手の大胆なローテーションを断行。グループリーグ初戦から第2戦にかけて6人、以降、試合ごとに9、8、4、4人と、目まぐるしく先発メンバーを入れ替えていった。

 その結果、どんなことが起きたか。

 準々決勝のイラン戦では、延長に入ってから3ゴールを決めて3−0の勝利。準決勝のイラク戦では、試合終了間際の決勝ゴールで2−1の勝利。そして、大会6試合目となる決勝の韓国戦では、47分までに0−2とリードされながら、残り30分で3−2と試合をひっくり返した。選手たちが試合終盤で見せたひと踏ん張りは、ローテーション起用と無関係ではなかったはずだ。

 もちろん、これは五輪世代だけに通じる話ではない。

 今年11月に開幕するワールドカップでは、基本的には中3日で試合が続く。

 森保一監督はベスト8進出を目標に掲げるが、それを実現するためには、3試合をこなしてグループリーグを勝ち上がったうえで、絶対に4試合目の決勝トーナメント1回戦を勝たなければならない。

 いかにグループリーグでの消耗を抑えて4試合目に臨むか。そこに目標達成のカギがある。

 だが、同じく森保監督が指揮をとった東京五輪で、どんな結末が待っていたかは前述のとおり。準決勝、3位決定戦の連敗以前に、準々決勝の時点ですでに選手たちの動きは重く、ニュージーランドをどうにか下したとはいえ、スコアレスの末、薄氷のPK戦勝利だったのである。

 サッカーは週1試合、週末だけに試合をするのが日常だ。Jリーグを見ていても、2週続けて水曜日に試合が入れば、ちょっとした異常事態。「過密日程の5連戦」などと当たり前に表現される。

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