森保ジャパンに膨らむ不安。南野拓実と鎌田大地の立ち位置から見えるチームの閉塞感 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 とはいえ、日本代表に目を移すと、両者の立場は一転する。

 2018年に森保一監督が就任して以降、南野は一貫して日本代表の主力であり続けてきた。当初はトリオでその活躍を取り上げられることが多かった、南野、堂安律、中島翔哉のなかで、その後もずっと同じ立場を守り続けているのは、南野だけだ。

 ポジションの変化はあっても、ワールドカップ最終予選などの重要な試合で、南野の名がスタメンから消えることはほとんどなかった。

 一方、鎌田はシントトロイデンでのブレイクをきっかけに、2019年に初めての代表入り。その後、フランクフルトでの活躍もあって、一昨年から昨年にかけて日本代表内での序列を徐々に高めているかにも見えたが、ワールドカップ最終予選が始まると出場機会を減らし、ついには代表メンバーから外れるようになった。

 結果的にEL優勝のインパクトも後押しになったのか、代表復帰には至ったが、チーム内で確かな地位を築いているとは言い難い。

 今回の6月シリーズ4試合を振り返っても、両者の立ち位置に大きな変化は見られなかった。

 まず"控え組"主体で臨んだ初戦のパラグアイ戦(4-1)では鎌田が先発出場し、1ゴールを記録する一方で、南野は出場なし。

 続く2戦目のブラジル戦(0-1)は"主力組"主体で臨んだことで、南野は先発出場したが、鎌田は後半からの途中出場。両者の立場は、従来どおりの流れに沿ったものだった。

 そんな序列に変化の兆しがうかがえたのは、3戦目のガーナ戦(4-1)である。

 再び控え組主体で臨んだこの試合、南野は80分から途中出場したが、鎌田は出場なし。この時点で、最後のチュニジア戦での鎌田の先発出場、すなわち主力組への登用が予想された。

 実際、キリンカップ決勝のチュニジア戦(0-3)で、鎌田は南野とともにスタメンに名を連ねた。南野は4-3-3の左FW、鎌田は左インサイドMFである(試合途中、4-2-3-1に変更となったことで、南野は左MF、鎌田はトップ下に入った)。

 ところが、55分にチュニジアに先制を許すと、5分後の選手交代で退いたのは鎌田。代わってトップ下にポジションを移したのは南野。どちらが日本代表にとって(あるいは、森保監督にとって)重要な選手であるのかを示唆しているようだった。

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