日本代表の攻撃に「マンチェスター・シティを想起」。スペインの名指導者が評価した点と 2つの警鐘 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

懸念される点がふたつあった

 29分、森保ジャパンは久保、堂安、山根のコンビネーションで見事に先制。エチャリは日本のよさを強調した。

「日本は右サイドだけでなく、左サイドでもコンビネーションで崩していた。久保、三笘薫、柴崎岳の3人が絡み、ガーナを圧倒した。山根の自陣でのパスミスで呆気なく同点に追いつかれたが、前半終了間際には三笘が左サイドから右足でクロスを入れ、これがゴールネットに吸い込まれた。飛び込んだ上田綺世、堂安はボールに触れられなかったが、お互いの意図を感じさせ、その動きが相手を惑わした。日本の連係のよさの証左だった。

 後半28分には久保が3点目を決めた。このシーンは、左サイドから三笘がディフェンスを抜き去って、マイナスに戻し、それを久保が蹴り込んでいる。ふたりだけの関係性に見えるが、ここでもやはり上田がうまくディフェンダーを釣っていた。

 インサイドハーフで抜擢された久保は多くのプレーに絡んでいた。上田とは序盤、ズレが見られたが、試合が進むにつれ、アジャストさせていった。ひとつの可能性を示した」

 エチャリは、「日本が試合を通じてアドバンテージを取っていた」と説明しながら、プロの視点で課題も指摘した。

「日本は後半になっても、ガーナを押し込んでいる。ポゼッションでは約7割。相手に決定機も作らせていない。3点目が入ってからは、ガーナの戦意を喪失させていた。

 GK川島永嗣は攻められた回数は少なかったが、判断のよさ、経験を感じさせた。前半、いい飛び出しで未然に危機を防いだシーンがあったし、後半もすばらしいパンチングでのクリアがあった。日本はパラグアイ戦、ブラジル戦とGKを代えているが、川島を含め、どの試合も高いパフォーマンスを示したと言える。

 一方で気になった点がふたつある。

 ひとつは、ここ数試合、指摘し続けていることだが、遠藤航にやや軽率なファウルが多い点だ。早い段階でイエローカードを受けた場合、ポジション的に劣勢に立つことになる。また、自陣でのファウルも見受けられ、力のある相手と対戦した場合、致命傷になりかねない。すばらしい選手だけに、そこの精度が上がるともう一段、スケールアップするはずだ。

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